食べ物の源流に感謝と関心を持つことから始まったニュービジネス

 

Posted on 09 May 2017 23:00 in インドビジネス by Yoko Deshmukh

食べるという行為は、本来とても尊いものであり、早食いやテレビ・スマホを観ながらの食事は考えものです。



Fresh vegetables sold by Bangladesh immigrant near our room in Lisbon.
 

あまり料理は得意でないわたしだが、食べる方は得意で、好き嫌いは多少あるものの、だいたいどんなものでもおいしく味わっていただいている。
特に近年は、わたしを幼いころから育んできた日本の味だけでなく、結婚してインドに移住してからわたしの健康を保っているインド料理、2つの源流がソウルフードとなり、わたしの食生活をより豊かなものにしてくれている。

料理が得意でないことと、普段引きこもって仕事ばかりの日々で、なかなか外の世界と繋がる機会がないことから、かえって目の前の食べ物こそが下界とのコンタクトポイントでもあり、感謝の気持ちは人一倍強いと自負している。
この肉、この魚、この野菜は、どのようにしてこの食卓まで運ばれて来たのだろうか、ということに意識を向けることが多い。

インドでも、「食の安全」というアングルにはなるが、生産地に関心を抱く人々は急増している。
本日付の「The Better India」で、そうした人々の需要に応えるべく、農業生産者や加工者の顔が見える仕組みを運営する人々が紹介されていた。

This Duo Left Behind Lucrative Careers to Help You Know Your Farmers & See How Your Food Is Grown

インドも多分に漏れず、食糧生産者である農家、特に栄養素を守り、安心して食べられる有機農法を取り入れる農業従事者に、相応の収入がもたらされず搾取に喘ぎ、またそうした質の高い農産物は、一般消費者のもとへ届きにくい現状がある。

そうした現状を憂えた3人の農業初心者が、農薬に頼らない有機農業を生産する農家と消費者をつなげる仕組みを試行錯誤して築き、2016年からマハーラーシュトラ州コーラプール(Kolhapur)で「Satvyk」という社名でサービスを立ち上げた。

「豆は葉酸、ジャグリー(糖蜜)はカルシウムとヘモグロビン、トマトはビタミンA、人参はビタミンC、1日1個のリンゴは医者いらずと言うが、果たして現代の農薬だらけの農産物は、これに該当するのだろうか?」という、創業者による自問の追求から始まった起業だったようだ。

複雑な社会に生きるわたしたちは、ともすれば単純な問いを追いかけることもせず、日々に忙殺されがちであることを、改めて痛感した話題だった。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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