子供がうるさいってのはあたりまえだから
Posted on 25 Jan 2017 23:00 in ASKSiddhiのひとりごと by Yoko Deshmukh
そんなこと、わざわざ注釈しないといけないような社会環境の方が異常であることに早く気づかねばなりません。
※リスボンのメトロ車内
インドの子供は、レストランやカフェなどの公共の場でも、実に奔放に遊んでいる。
そうした商業施設で働く、(人口大国を反映して、やたら数ばかり多い)店員たちも、騒ぐ子供たちを叱るどころか、面倒を見たり、一緒に遊んだりを買って出ているぐらいだ。
パソコンを持ち込んで、どこかの飲食店で仕事をしていたりするような場合、お子様将軍たちがやってきたら大変だ。
音量調整のまったく効かない「ウギャ~~~」、「ワー」、「キャ~~~!!!」というキンキンした叫び声、そして店内中を運動場にして駆け回る彼ら。
連れてきた親たちはほとんど意に介さず、お話に夢中。
子供をしつけたことなんかないわたしは、「こんな日にあたっちゃって、あいにくだったな」とあきらめるしかない。
子供は騒ぐ生き物、うるさくて当たり前だからだ。
瞑想の効果を発揮する時かもしれない。
インド、特にわたしの住むプネやマハーラーシュトラ州では、子供はだいたい例外なくかわいがられる。
物乞いをしにくるストリートチルドレンにも相応の注意を払うし、近所の子に言い聞かせるように話しかけている人が多い。
昨年11月にポルトガルのリスボンで、地下鉄に乗ったときのこと。
全世界から集まった参加者は5万人とも言われた「Web Summit」というイベント開催期間中の3日間、会場の最寄りオリエンテ駅を通る線は朝夕、ものすごい混みようだった。
我々のせいで、リスボン市民ははた迷惑を被っているのではなかろうか、と気に病むぐらい、世界中のさまざまな言語が飛び交う車内はごったがえし、身動きも取れないような状態。
そんなある日、大混雑の車内にベビーカーを押したファミリー連れが入ってきた。
比較的若い両親とおぼしき方々は、「Web Summit」参加者を示す腕輪を着けている(この腕輪は来場者を区別するためのもので、会期中3日間は外れないようになっていた)。
足の踏み場もないほどに押し合いへし合っていたわたしたち乗客だが、お互い譲り合って速やかにスペースを空けていた。
そこには、「こんなに混んでいるところにベビーカーを押してきやがって」というような空気は微塵もなかった。
列車が動き出すと、かわいい赤ちゃんの笑顔に知らない人同士の顔がほころび、特に若い女性が、かわるがわる声をかけたり、あやしたりしていたのが印象的だった。
わたしも、赤ちゃんのクルクル変わる表情を見ていて飽きず、辛い満員電車の乗車時間が、いつもの半分ぐらいに感じられた。
さらに、ベビーカー周囲にいたおかげで、列車がブレーキをかけたり、カーブを曲がったりして、足元がぐらついた時、とっさに手すりやヘリなどの骨組みを掴ませてもらったりして体勢を立てなおし、転倒を免れて助かりもした。
いっぽう、わが日本では、子供の声が「騒音」とみなされるのだという。
かわいい赤ちゃんが乗ったベビーカーで、混雑した列車に乗ると迷惑なんだそうだ。
大変な社会だな。
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Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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