リクシャーワーラーとの交渉ラウンド再開か

 

Posted on 19 Feb 2025 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

いまだに初めてひとりでオートリクシャーを拾い、値段交渉して乗車した日の緊張感と、目的地に無事到着した瞬間の安堵感は忘れないな。



OlaやUberが登場する以前のインドで、オートリクシャーに乗ることは決して簡単なことではなかった。

ほとんどの場合、運賃交渉が必要であり、運転手がメーターを使うことを拒否し、恣意的な料金を提示することが一般的だった。
かつては運賃の目安が距離数に応じた表形式で印刷された、お財布に入るサイズの「Tariff Card」も出回り、乗客は自衛するも、運転手の中にはメーターを細工して回転数を上げることで、少しでも多めに運賃を取ろうとする攻防があった。
地元の人々も外国人旅行者も、交渉のスキルを身につけなければ、通常より高い運賃を支払う羽目になっていた。

OlaやUberのような配車サービスの登場により、この厄介なやりとりはほぼ過去のものとなった。
乗客はアプリを使ってオートリクシャーを予約し、固定運賃を確認し、スムーズなデジタル決済を利用できるようになった。
しかし、最近のUberの方針変更により、この便利な仕組みが部分的に過去に逆戻りする可能性がある。

というのも2月18日から、Uberでのオートリクシャーの支払い方法は現金のみとなり、Uberクレジットやオンラインウォレットなどのデジタル決済が利用できなくなった。
これにより、乗客は現金を持ち歩き、直接運転手に支払わなければならない。
Ola/Uber以前の時代と同じスタイルに戻ることを意味する。

ちなみに乗用車の配車は、これまで通りデジタル決済を利用できる。
ただオートリクシャーの配車には乗用車よりも、場合によっては半額以下の低い運賃が適用されていたので、困ることになる人は多くなるだろう。

重要なのは、Uberがオートリクシャーについて、運賃の決定方法を変更した点である。
アプリには目安となる運賃が表示されるが、最終的な支払い額は運転手との交渉次第となる。
これは、路上でオートリクシャーを拾い、運賃を交渉する従来の方法と非常に似ている。

この変更は、多くの人にとって後退と感じられるかもしれない。
デジタル決済と標準運賃の導入は、UberやOlaを利用する最大のメリットの一つだった。
乗客は過剰請求の心配をせずに済み、現金を持ち歩く必要もなかった。
今回の変更により、料金が不安定になり、交渉の手間が増える可能性がある。

しかし、この変化はインドのオートリクシャー業界の現実を反映しているのかもしれない。
多くの運転手は現金取引を好み、アプリの固定運賃が低いため予約を拒否するケースも増えていた。
Uberが運転手に柔軟性を持たせることで、より多くのオートリクシャーをプラットフォームに呼び戻そうとしている可能性がある。

この変更が一時的なものなのか、それとも今後定着するのかはまだ分からない。
利用者の移動手段にも影響を与えるだろう。
デジタル決済を提供し続けるOlaに乗り換える人もいるかもしれないし、従来の方法に戻り、オートリクシャーを拾って交渉する人も出てくるだろう。

今のところ、Uberでのオートリクシャー利用が必ずしもスムーズとは言えなくなり、乗客は再び運賃交渉のスキルを磨く必要があるかもしれない。
 






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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