森林大国ブータン、期待されるその役割

 

Posted on 20 Mar 2024 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

いいモン持ってるねキミ。



国土のおよそ7割もの面積が森林に覆われているブータンだが、世界銀行の最近の報告書では、そうした天然資源を最大限に活用していない現状が明らかになっている。

Bhutan’s forests key to sustainability: World Bank

報告書では、世界初のカーボンネガティブ国として、排出するよりも多くの二酸化炭素を大気中から除去しているブータンが、自国の資源を持続的に利用すべきである点を指摘する。

カーボンニュートラルの維持に取り組むブータンにとって、森林は大きな役割を果たしている。
報告書は、そうした恩恵を享受するブータンが、自発的な炭素市場でオフセットした排出量を販売することで、利益を得られる可能性があることを示唆している。

その広大な森林にもかかわらず、ブータンは多くの木材製品を他国から購入している。

たとえば2019年のデータでは、ブータンはおよそ5,240万ドル相当の木材製品を輸入したが、輸出したのはおよそ90万ドル程度にとどまった。

報告書では、ブータンが木材を主原料とする高付加価値の製品を作るため、製造業に投資できる可能性があると指摘、これにより林業部門からの収入増を目指すことができるとして、集成木材(glue-laminated timber)技術を大規模に導入し、持続可能な戦略として国内で中規模の木炭生産を確立することを提案している。

また集成木材への投資は、建設部門の鉄骨構造への依存度も低減する可能性があるとしている。
最近はスイスのヘーリング社(Häring AG)の援助により、試験的な集成木材工場が国内に建設された。

報告書によると、2019年の集成木材の生産コストは1立方メートルあたり317米ドルと報告されており、推定される世界市場価格1立方メートルあたり500米ドルよりも大幅に低かった。

報告書では、炭素削減剤としての役割を果たしているインドからの木炭の輸入によって、国内産業の需要を満たしていることを示している。

集成木材や木炭技術への投資は、100パーセントのカーボンニュートラルを目標とするブータンにとって、推定温室効果ガス排出総量にして3.2パーセントの削減に貢献する可能性もある。

ブータン国内では合計10億800万本の樹木が記録されており、推定5億2,300万本の苗木が確認、これは2015年に報告された数字と比較して26パーセントという大幅な増加を表している。

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About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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