「わが町の貴重な水資源を救おう」切実な想いで立ち上がった4人の新聞配達人

 

Posted on 23 Mar 2016 23:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

配管の漏れも悔しいですが、うっかり蛇口を開けたままで留守にしているご家庭から、無慈悲な流水音が鳴りやまない時に、一刻を争う事態であるにも関わらず、為す術のなさに途方に暮れる時の、あの気持ち。本気の水不足を体験した人でなければ、理解できないかもしれません。



*The photo from a copyright-free space

マハーラーシュトラ州南西部、ゴアとの境界近くに位置する古い歴史を持つ町、コーラプール(Kolhapur)でも、慢性的な水不足からダムの貯水量が35%を割る深刻な水不足となっており、安定しない給水が市民生活を脅かしている。

昨年のモンスーン明けから給水制限が1年近く続いている、わが街プネもそうであるが、市民はいつ上水道の給水があるのか、スケジュールが一定しないので、気まぐれな水を待って、常に蛇口を全開し、その下にバケツをスタンばっている。

そうすると、うっかり蛇口を締め忘れて熟睡してしまったり、出かけてしまったりして、その間に限って豊富な水がじゃんじゃんと蛇口から流れ、そのまま排水溝へ吸い込まれていくという、実にもったいない状況になる。

コーラプールでは特に、一部の地域で午前2時ごろに給水があったりするため、こうした「事故」が多発しているのだという。

その状況に憂い、なんとか水の無駄を防ごうと立ち上がった、4人の新聞配達人がいる。
The Better Indiaが報じた。

In Kolhapur, Four Newspaper Delivery Men Turn Into Water Vigilantes at 2 Every Morning

新聞配達人のワングッテさん、サムドリカルさん、ジャダウさん、チャワンさんの4人の「勇者」は、午前2時ごろには自転車で配達を開始する。
そのついでに、各家々で水道の蛇口が開けっ放しになっていないかをパトロールしているというわけだ。

万一、水が垂れ流し状態になっている家があれば、真夜中であろうが躊躇なくチャイムを鳴らして家主を起こし、注意している。

「町の水を守ろう」という正義感からの行動に対し、寝ぼけ状態の不機嫌な家主から文句を言われることもあるというが、「これは旦那、失礼いたしました。いえね、どうもお宅の配管から水が漏れているようで、こういう水不足の事情でしょう?あれでしたら、我々がお金を出しますから、配管工をお呼びになられてはいかがですか?」と慇懃に返すと、途端に過ちに気づくのだという。

「The Better India」の別の記事によると、同じく水不足に苦しむムンバイでは、80歳を超えるアーティスト、アービド・スルティ(Aabid Surti)氏が2007年、「ほとんどの水不足は、劣悪な配管によるぽたぽた漏れで引き起こされる」として、NGO団体「Drop Dead Foundation(仕留めよ水漏れ基金)」をたった一人で立ち上げ、1,666件の家々を回り、414本の配管を修理、41万4,000リットルの節水を達成している。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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