バンガロールの研究グループが建物や道路の表面温度を大幅に下げる新塗料を開発

 

Posted on 07 Nov 2023 21:00 in インド科学技術 by Yoko Deshmukh

冷房による環境負荷をなるべく少なくしたいインドです。



手頃な価格で手配でき、環境への負荷が少ない、新しい放射冷却塗料が開発されたという話題を見つけた。

Newly developed affordable radiative paint can reduce electricity consumption for cooling buildings

バンガロールのジャワハルラール・ネール先端科学研究センター(Jawaharlal Nehru Centre for Advanced Scientific Research、JNCASR)の研究チームらが開発したこの塗料は、暑さの厳しい天候下でも建物や舗装、タイルといった構造物を効果的に冷却でき、電力消費削減することを狙う。

電力を消費せずに8 ~13μmの大気透過窓を通して熱放射を直接放射する。
これにより塗装表面の温度を冷却し、結果として空間を冷やすように開発された。
この放射冷却技術により、エアコンや扇風機、冷蔵庫の膨大な電力消費に伴うエネルギー需要の圧迫と、排出される温室効果ガスによる地表温度の上昇を緩和することを狙う。

このような日中受動的放射冷却(passive daytime radiative cooling、PDRC)は近年、舗装、タイル、建物および自動車の冷却、太陽電池などの用途で関心を集めている。

この塗料は、地球上に豊富に存在し、安価かつ無毒で無害な材料から調製された、超白色かつ超放射性の酸化マグネシウム(MgO)とポリフッ化ビニリデン(PVDF)ナノ複合材料を原料とする。
高い日射反射率と赤外線熱放射率により、優れた冷却能力を示し、実験結果では塗布した舗装の表面温度が、強い太陽光の下でも摂氏約10度も低下することを示し、これは従来の白色塗料のほぼ2倍の効果を表す。

まずポリマー粉末が溶媒を経て溶液になり、誘電性ナノ粒子がポリマーマトリックスの内部に分散される。
調製後は分光技術などを使用して、ポリマーナノ複合塗料の光学特性を発揮、熱電対で塗料の温度を測定すると、炎天下でも優れた冷却性能が見られた。

こうして最適化されたMgO-PVDFは、MgとOの結合振動およびポリマーからの伸縮・結合振動により、96.3パーセントという高い日射反射率と98.5パーセントという記録的な熱放射を達成、同時に耐水性と疎水性を示し、高い均一性と良好な接着力で素材を問わず効果を示すという。

研究結果は「Advanced Materials Technologies」誌に掲載されている。

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About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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