インド人口の大部分を占める農村部の人々への広告キャンペーン

 

Posted on 28 Jun 2023 21:00 in インドビジネス by Yoko Deshmukh

写真は7年ほど前に撮影したアコラ駅です。現在もその様子は、ほぼ変わっていないと思われます。



インドの潜在力は、いわゆる「Tier I」と呼ばれる大都市から離れた、各州の州都はもとより中小規模の都市あるいは農村部に眠っていると言われており、そのためのターゲット広告が近年、試行錯誤されているという話題を見つけた。

How ads aimed at rural Indian buyers may be missing a big trick

わたしの知る、親族の出身地であるマハーラーシュトラ州アコラ(Akola)という小都市には、マクドナルドなどのファストフードはおろかファストファッションも、およそ「ファスト」なものは何一つない。
そこに住む人々は、華やかながら激しい交通渋滞をはじめ日々に忙殺されがちな大都市の住民とは、まったく異なる世界観を持っていることは容易に想像できる。
都会の片隅で企画する広告プランナーが苦戦するのも無理はなく、記事でも地方や農村の人々のニーズ理解にギャップがあると記載されていた。

とは言えインドの地方部および農村部は、全体人口の大部分を占めており、豊富な可処分所得(だって、お金使うとこないからね)を後ろ盾とした、かなりの購買力を持っているとされる。
こうした層が、ネットの恩恵でほぼ時差なく最新の情報を取得するようになっており、都会の人々が当たり前に享受するモノに関心を抱いている。

一方、ライフスタイルの相違により、いくら欲しくて買っても、実際には使い道がないこともある。
たとえば冒頭のアコラという町に住んでいた若いインド親戚たちは、海外の映画やドラマで目にするようなミニスカートやワンピースを着て歩いてみたいが、ご近所や世間の目が怖くてできないと言っていた。
同じ州内のプネーの女性たちが、胸や脚のあらわな服装でオフィスや街を自由に闊歩しているのとは大違いだ。

記事中では、従来の広告キャンペーンでは、地方都市や農村部の消費者は、伝統的な価値観や農業活動のみに興味があるという固定観念に基づくものだったと指摘、しかし先述のとおり、今や際限なく入って来る情報により、生活を便利にしたり、最新テクノロジーの恩恵を享受したりできる製品やサービスへの関心は高まっているとしている。
そしてテレビだけでなく、ソーシャルメディアやインターネットを駆使した広告を展開するのは当然として、それぞれの地方で土地の人脈があり、文化を深く理解している影響力のある人やオピニオンリーダーと協力することも、信頼と信用を築く上で有益だとまとめている。

そういえば昔、結婚したばかりのころ、インド親族に何やらありがたいお方だという「聖者」のところへ強制連行され、何やらありがたいという説法のようなものをいただいたことを思い出した。
あれは一体、何だったのか、その当時のことを当の親族に聞いても、あいまいにはぐらかすような答えしか返ってこないのだが、しばしば地方都市には、そうした「神の子」的な存在の人々(政治家を含む)が出現し、ドスのきいた声で「ありがたい」説教をしている。
こうした、「ザ・インフルエンサー」な方々にアプローチしてしまうと、意図せずマルチ商法まがいの行為に片足を突っ込んでしまうことになりはしないかと心配になる。

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About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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