プネーと縁の深いドイツ人社会学教授マリア・ミース氏
Posted on 20 May 2023 21:00 in 海外のインド人 by Yoko Deshmukh
先人たちの努力とインドとの関わりを、今になって知っています。The picture is from Wikipedia.
今週15日、インドとゆかりの深かったドイツ人社会学者で、「マルクス主義のフェミニスト」としても知られるマリア・ミース(Maria Mies)氏が92歳で亡くなったという記事を見かけ、その方のことをお恥ずかしながら存じ上げなかったわたしは、とても興味深くその生涯について学んだ。
Pune recalls association with Maria Mies, German sociologist and ecofeminist who died at 92
Maria Mies - Wikipedia
長年、ムンバイーのタタ社会科学研究所(Tata Institute of Social Sciences)の女性研究部門で部長を務めていたチャヤ・ダタール(Chhaya Datar)博士は、ミース氏、そして夫で著名な作家として知られるサラル・サーカール(Saral Sarkar)氏と親交があった。
ミース氏は、プネーに現在もあるドイツ語およびドイツ文化振興機関、「ゲーテ・インスティテュート/マックス・ミュラー・バヴァン(Goethe-Institut/Max Mueller Bhavan)」で1963年からドイツ語講師を務めながら、インドにおける現代ミドルクラス女性らが抱える矛盾や葛藤について研究していた。
同機関に学生として在籍していたサーカール氏と出会い、その後結婚した。
「農村部の生活に関心を持っていたミース氏を、マハーラーシュトラ州ナンドゥルバール(Nandurbar)県に連れて行ったり、後年はケルンにたびたび立ち寄って親交を温めたりしてきた」ダタール氏は回顧する。
前述のタタ社会科学研究所には、ダタール氏の働きかけにより実現した、マリア・ミースの名を冠した賞が存在する。
晩年のミース氏は認知症を患っており、ケルンの介護施設で息を引き取った。
1970年代後半から80年代にかけ、国際労働機関(ILO)が女性、労働、開発を関連付ける啓発活動を考案していた頃、ミース氏はアーンドラ・プラデーシュ州ナルサプール(Narsapur)のレース職人について、経済発展における女性の役割や、無給労働が資本主義システムにどのように利益をもたらすかについて、重要な研究に取り組み、既に著名な研究者として名を馳せていた。
ミース氏の主な活動として、1970年代後半から1990年にかけ、プネーやムンバイーで、『生殖権と遺伝子工学反対に関するフェミニスト国際ネットワーク(Feminist International Network on Reproductive Rights and Against Genetic Engineering、FINRRAGE)』による一連の作業部会が開催されており、ミース氏は当時台頭しつつあった新しい生殖技術による性選択への有害な影響について警告していた。
そうした場では、『coloured women as a last colony for capital accumulation(資本蓄積のための最後の植民地としての有色人種女性)』および『invisible hands(見えざる手)』という表現をたびたび引用していた。
物理学者で社会活動家のヴァンダナ・シヴァ(Dr Vandana Shiva)氏は、ミース氏と共著で『Ecofeminism』を著し、これが「エコ・フェミニスト(eco-feminist)」と言う肩書きが生まれるきっかけとなった。
2人は1995年、植物遺伝資源に関する国連ライプツィヒ会議で「ライプツィヒの嘆願(Leipzig Appeal)を、1996年の国連食糧サミットでは10万以上の署名を集めた「女性の手による食料主権の呼びかけ」を実施した。
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Yoko Deshmukh
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インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
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