インドでも笑っていたほうがいい

 

Posted on 18 Jan 2016 21:00 in ASKSiddhiのひとりごと by Yoko Deshmukh

インド旅行記、特に女性向けのインド旅行指南書(ガイドブック)には、「現地人には、むやみに笑顔を見せてはならない」ということが書かれています。



※かつて、お仕事でお世話になったことがある、島田卓さんのご著作(「ガイドブック」のくだりとは関係ありません)。インドでのビジネスについて、島田さんならではの愛情たっぷりの観点から書かれていて、インドに限らず「グローバル化」を考える方には、ぜひ読んでいただきたい本です。それにしても「インドを味方にする」って、本当にいい言葉だなぁ。

確かに、街角ですれ違う人に片っ端から笑顔を振りまいていたら、頭がおかしい人と思われるか、「俺に気があるのか」と勘違いされてしまうことでしょう。

しかし、しかるべき安全が確保された場面では、できるだけ笑顔でいた方が、得をすることがいっぱいです。

たとえば、スーパーのレジで袋詰めをしてくれる、まだ未成年ではないかとおぼしき若い女性に、「ありがとう(धन्यवाद:Dhanyawaad)」の笑顔を向けると、不意打ちという感じで、ニッと愛らしい笑顔がこぼてれきます。
毎朝、団地の家庭ゴミを回収してくれている女性に、笑顔で「ナマステー(नमस्ते:Namaste)、ありがとう」と言うと、生ゴミの臭いにあふれた重いバケツを抱え、どんなに大変そうな時でも、必ず満面の笑みを向けてくれます。
大衆食堂で、てんてこ舞いの中、忙しすぎて仏頂面をしたボーイさんに「ごちそうさま(この場合もधन्यवाद:Dhanyawaad)」と声をかけると、顔をしわくちゃにした、とびきりの笑顔を見られることがあります。
こんな瞬間のひとつひとつが、毎日の「いいこと」に加算されていく、インドでの暮らしです。

笑顔には、ほとんどの場合、笑顔の応酬があります。
そして、人の笑顔を見ると、立場や背景など関係なく、その人の境遇に関心を持ち、想像し、思いやる力が湧いてくる気がしています。

時には、商店やレストランの店員さん、水道技師や電気技師、はたまた会社勤めしていた頃であれば同僚たちの態度に、頭に来ることはあるけど、せめて心の中では「わっはっは」と、笑顔に努めていると、たまらず怒鳴り込んでしまっている人よりも、比較的すんなりと問題が解決してしまったりします。

スピリチュアルなものを含めて、仏教関連の本には、怒りの感情は破壊こそもたらすが何の生産も解決もしない、だから怒りのエネルギーを他に転嫁しましょう、というようなことが、瞑想への導入として記述されていたります。
さすが仏教を生んだお国柄インド、日常生活の中で、見事にそれを実践できてしまうのです。
そういえば、「笑い療法(笑いヨガ:Laughter Yoga)」なるものの発祥の地も、インドですね。
おもしろいことがあろうがなかろうが、とにかく大笑いしちゃうことで、心身のバランスが保ててしまうという、アレです。
断水で水が出なくても、とりあえず笑おう。
停電でも、笑おう。
オートリクシャー・ワーラーにふっかけられても、笑っちまおう。

笑いとはすなわち、心の余裕。
心の余裕とは、できる限り「笑ってみよう」と自分に語りかけるだけで、すんなりと生まれてしまうことも多いようです。

などと、偉そうなことを述べているが、わたしのような中途半端な人間は、これまでのインド生活、こればっかりを駆使してどうにか切り抜けさせてもらってきたところがあります。
なるべく笑顔でいることを心がけてきたことに加えて、インド人たちの懐の深さに助けてもらっていることも疑いありません。

真心からの笑顔とはすなわち、相手に対する尊重の気持ち。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



Share it with


User Comments