インド全土で2020年までに最も厳格な大気汚染対策基準を義務付け

 

Posted on 10 Jan 2016 15:00 in インドの政治 by Yoko Deshmukh

そろそろ本気出して行こうぜ。



*Photo from a Vistara Airline cabin from Delhi to Pune, boarded in August, 2015.

インド政府がようやく、大気汚染対策に本気を出そうとしている。

昨年末に発表した期限よりも1年、前倒した2020年4月までに、現時点でもっとも厳しい基準である「Bharat Stage-VI」を最低限遵守することを、全国すべての車両に義務付けると発表した。
ひゃっほ〜〜、フレ〜フレ〜!!!

現在、北インド地域では「Bharat Stage-IV」が、それ以外の全国では「Bharat Stage-III」の遵守が義務付けられている。
一気に2段階駆け上がった基準を設けることについて、ニティン・ガドカリ(Nitin Gadkari)交通大臣は、「インドで生産され、欧州に輸出されるクルマは、ほとんどが「EURO6」という厳しい排ガス基準に準拠したエンジンを搭載している。その技術があるのだから、2020年までにはインドでも必ず実現できるはずだ」と語った。
その通りだと、わたしも思う。

これを受けて石油省では、少なくとも「Bharat Stage-VI」に準拠した燃料の供給を約束、このためには国営製油所の3分の2において施設のアップグレードが必要となり、6000億ルピーほどの追加投資が見積もられている。
汚した空気を元のきれいな状態に戻すために、人類はどれほどの代償を支払わなければならないのだろう。
虫歯だらけのわたしは、歯医者に行くたびに「歯を元のように機能させるために、どれほどの出費をしなければならないのだろう」と、次元は違うものの同じようなことを考える。

インド科学環境センター(Centre for Science and Environment)の分析によれば、「Bharat Stage-VI」基準を義務付けることにより、ディーゼル車からの窒素酸化物排出量は68%の削減、ガソリン車では25%の削減が期待できる。
これによって、ディーゼル車から排出される発がん性物質は、最大80%もの削減ができるものと試算している。
「インドが欧州基準から10年以上遅れていることを考えると、今回の規制強化はインドにとっても世界にとっても決定的な大転換のカギとなるだろう」同センター。

今回の2020年という目標は、昨年末に世界の気候変動に対する取り組みについて各国が歴史的な合意をし、締結された「パリ協定(Paris Agreement)」で定められた、5年ごとに義務付けられたコンプライアンス・レポートが提出される最初の年となっている。

これを受けて、トヨタ・キルロスカ・モーター(Toyota Kirloskar Motor)やメルセデスベンツ(Mercedes-Benz)といったカーメーカーは、おおむね意欲的に取り組むことを表明している。
そりゃそうだ、 VWのスキャンダルを、人々は忘れていない。

世界最悪レベルの深刻な大気汚染とされ、今月から車両ナンバーによる通行規制が導入されているデリーでは、自治体政府が2017年までの「Bharat Stage-VI」義務付けを中央政府に求めるなど、急速に動き出している。
これについては最高裁まで審議が持ち込まれる可能性もあるという。

これまでインドの大気汚染については、いわゆる笑い話やネタ話のような感じで、日本など別の国に住む友人や知人に語り、それを受けた方もあくまで他人事として同情してくれていたものだが、住んでいる場所に関係なく、地球人として真剣に考え、取り組まなければならない問題になっていることは疑いない。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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