インド宇宙開発の2015年

 

Posted on 26 Dec 2015 06:00 in インド科学技術 by Yoko Deshmukh

認めたくないかもしれないけど、日本よりは先を行っています。



*Photo from ISRO

日本でも、まだ成功を遂げていない火星探査ミッションだが、今年のインドは、インド宇宙研究機関(Indian Space Research Organization:ISRO)が打ち上げた火星探査機「マンガルヤーン(मंगलयान:Mangalyaan、『मंगल(Mangal)』とはサンスクリット語で『火星』の意味)」が、火星周回100日目を記録した話題から幕を開けた。
マンガルヤーンは、現在も順調に観測を続けている。

このほか今年のISROは、アーンドラ・プラデーシュ州シュリハリコタ(Sriharikota)射場から打ち上げた21基の衛星のうち、大部分にあたる17基が、欧州宇宙機関のアリアン(Ariane)ロケットを使用した通信衛星「GSAT-15」を含む、海外の衛星が占めるなど、商用衛星の打ち上げ実績を着実に稼いでいる。

また7月には、ベンガル湾、インド洋、および東南アジア、中東、アフリカなど広域にわたる正確な地形把握などのナビゲーションを目的としたGPS補完航法衛星システム(GAGAN)の打ち上げに成功、さらに今月16日には、シンガポール衛星6基を1台のロケットで打ち上げるミッションに成功、先進国からの宇宙開発委託事業の土台を築いた。

宇宙開発の父、ヴィクラム・サラバイ(विक्रम साराभाई:Vikram Sarabhai)氏の指導の下、早くからロケット開発に取り組んできたインド。
「ジュガール(जुगाड़:Jugaad)」、すなわちインドならではの創意工夫により、国家プロジェクトでありながら、安価で高性能なロケット開発を追求、取り組んできた。

ISRO発足当時は、衛星や観測機器(ペイロード)を発射地点まで運搬する手段に牛車が使われるなど、ほのぼのとした光景を捉えた象徴的な写真も残っている。
1975年に、初の国産ロケット「アリヤバータ(Aryabhata、5世紀の数学者で、天文学者の名前)」の打ち上げに成功すると、これをきっかけに旧ソ連のロケット打ち上げ事業や、1976年からはNASA(米航空宇宙局)との共同プロジェクトにより、国内2400箇所の農村へ衛星テレビ配信を達成、発展を遂げてきた。

ヒンドゥ暦が月齢にもとづいたものであることを挙げるまでもなく、ジャイプールやデリーにある巨大な日時計シャンタル・マンタル(जंतर-मंतर:Jantar Mantar)​をはじめ、古くは紀元前2000年ほど遡るインダス文明の時代から、天文学や宇宙学に関心を持ち続けてきたインド。
科学オンチのわたしたが、インド世界と宇宙世界との交わりには関心を抱いている。
もっと学び、浸ってみたい。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



Share it with


User Comments