夜間警備員からIITへ、そしてIIM助教授へと華麗に転身した人

 

Posted on 13 Apr 2021 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

知的な両目は輝いています。このような「美談」は同時に、わたしたちの住むインドが、不利な境遇にある人々にとっていかに過酷な国であるかも同時に物語っているようです。



「NDTV」電子版に、警備員の仕事をしながら猛勉強の末、国内最難関とされるインド工科大学(Indian Institute of Technology、IIT)に合格、現在はインド経営大学校(Indian Institute of Management、IIM)の教授になった人のストーリーが掲載されていた。

From Watchman To IIM Professor: The Remarkable Story Of Ranjith Ramachandran

28歳のランジート・ラーマチャンドラン(Ranjith Ramachandran)さん。
警備員としてのわずかな収入に生計を頼り、ひたすら努力してIITに見事合格、現職はIIMラーンチー校(Ranchi、ジャールカンド州)校の助教授を務めるまでの成功者となった。
その半生を振り返り、「自分の夢を実現するために戦った」とのSNS上の投稿には多くの賛同が集まり、トーマス・アイザック(T M Thomas Isaac)財務大臣(Finance Minister)も祝福のコメントを寄せるなど、話題を集めている。

「圧倒的に不利な境遇でも決して諦めないこと」、それが、雨水の浸入を防ぐための防水シートで覆われた、ボロボロのタイル張りの掘っ立て小屋を住まいとする、ラーマチャンドランさんの金言だ。

ラーマチャンドランさんの驚くべき旅は、昼間は出身のケーララ州カサラゴード(Kasaragod)県内にあるPious Xth Collegeの経済学部で学びながら、夜間は電話交換所のBSNLで警備員として働く「苦学生」時代なしには語れない。

ラーマチャンドランさん自身、家計の苦しさから、学校教育をほぼ諦めていた時期があった。
父は仕立て屋、母はマハートマーガーンディー国立農村雇用保証制度(Mahatma Gandhi National Rural Employment Guarantee Scheme)の日雇い労働者で、収入が非常に限られていたためだ。

優秀な成績で同大を卒業後、猛勉強が実りIITマドラス校(IIT-Madras)に見事合格した。

しかしマラヤーラム語しか知らなかったことがハンディキャップとなり、博士課程を中途で諦めかけたこともあったが、当時の教授の強い勧めと励ましにより、昨年無事、博士号を取得した。

現職の前の2年間は、バンガロールにあるキリスト大学(Christ University)で助教授としてのキャリアを積んだ。

ただし、「どんな困難にも屈せず意思を貫き通し、教育を武器に社会的、経済的な不遇を乗り越えた彼の姿は、すべての人へのインスピレーションとなるだろう」とするアイザック大臣のコメントは、政府の要職にある人のだけに、きれいにまとまっているようで問題の根本原因から目を逸らしていないかいと、一インド住民として突っ込まざるをえない。

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なお、現状に何ら役立つ情報をご提供できていない「ASKSiddhi(アスクスィッディ)」なので、せめて「在ムンバイ日本国総領事館」より日々発信されている州内の状況や州政府による措置に関する最新情報を、今後はこちらにも転載させていただきたい。

=== 以下、同掲題メールの転載 ===
※3月23日付けのメール、件名「コロナウイルス感染拡大に伴う制限事項(注意喚起)」


【ポイント】
1 3月15日、マハーラーシュトラ州政府は集会等の人が集まる行事に対する制限措置を発表しました。
2 3月19日、ムンバイ市行政当局は、市内のショッピングモール、主要駅他において、来場者を無作為に抽出し抗原検査を行い、検査等を拒否した場合には反則金処分を科す旨を発表しました。

【本文】
1 3月15日、マハーラーシュトラ州政府は集会等の人が集まる行事に対して以下のとおりガイドラインを発表しました。
(1)映画館、ホテル、レストランについては、利用者を50%の収容数にとどめる。
(2)社会的、文化的、政治的、宗教的等一切の集会を禁止する。
(3)結婚式については、50名以上の参加者を認めない。
(4)葬儀については、20名以上の参列者を認めない。
(5)医療関係者等の必要不可欠な業種を除き、全ての事務所は50%に出勤抑制をすること。(テレワークを推奨すること。)

2 3月19日よりムンバイ市行政当局は、市内の混雑が予想される公共施設等において抗原検査(RAT:Rapid Antigen Tests)を実施すると発表しました。当館から市行政当局関係者に確認したところ、詳細以下のとおりです。特にショッピングモールを利用される方はご注意下さい。
(1)検査実施場所
  ショッピングモール、主要駅(特定州からの到着路線のみ)、バスターミナル、マーケット、観光施設等の混雑が予想される場所
(2)検査対象者
  施設来場者(施設関係者により無作為に抽出)
(3)検査費用
  原則無料。ただし、ショッピングモールでの検査は費用が発生します。
 ※午前中にモールで抗原検査を受診し、午後再度モールを訪れた場合でも検査対象となる場合があります。
(4)免除対象者
 ・抗原検査受診前72時間以内に検査し取得したPCR陰性証明を所持している者
 ・ワクチン接種が2回終了した者については、証明書の写し(電子的コピー可)を提示した場合、抗原検査の受診が免除されます。
(5)反則金
 抗原検査や検査料の支払いを拒否した者は400ルピーの反則金処分が科せられます。

●在留邦人の皆様へのお願い

1 マハーラーシュトラ州は、インド国内でも感染者が極めて多い地域の一つとなっております。ご自身が感染しないためにはいわゆる3密を避けるとともに、マスクを着用し、こまめに手洗い・うがいをするようお願いします。

2 公共施設等において、抗原検査の受診対象者となった場合には、関係者の指示に従い、検査に協力をお願いします。

3 日本外務省はインドについて「レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)」の感染症危険情報を発出しています。インドへの渡航を検討されている邦人の皆様におかれては、インドにおける感染状況を踏まえ、渡航の必要性や時期について慎重に御検討ください。
(新型コロナウイルス感染症に関する皆様へのお願い:当館ホームページ)
https://www.in.emb-japan.go.jp/PDF/20201105_rev_Coronavirus_j.pdf
また、以下のインド内務省入国管理局ホームページに、現在入国できる査証カテゴリーや査証取得手続き、事前の自己申告フォーム等の提出、入国後の自主隔離等、外国人の入国に関するインド政府のガイドラインが掲載されていますので御留意願います。
(インド内務省入国管理局ホームページ該当部分)
https://boi.gov.in/content/advisory-travel-and-visa-restrictions-related-covid-19-1

(各種情報が入手できるサイト)
インド政府広報局ホームページ
https://pib.gov.in/indexd.aspx
インド保健・家庭福祉省公式ツイッター
https://twitter.com/MoHFW_INDIA
インド入国管理局ホームページ
https://boi.gov.in/
在日インド大使館ホームページ
https://www.indembassy-tokyo.gov.in/jp/index_jp.html
外務省海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/
厚生労働省ホームページ:新型コロナウイルス感染症について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
首相官邸ホームページ:新型コロナウイルス感染症に備えて
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html
マハーラーシュトラ州政府HPアドレス
https://www.mha.gov.in/notifications/circulars-covid-19
ムンバイ市行政当局HPアドレス
https://autodcr.mcgm.gov.in/BPAMSClient2/HTML2/html/downloads.aspx

【お問い合わせ先】
在ムンバイ日本国総領事館領事班
電話: (91-22)2351-7101
email:ryoji@by.mofa.go.jp)
=== 転載終わり ==


☆本日の1曲☆

 






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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