義理の母の腎臓に救われた女性

 

Posted on 17 Jul 2015 17:18 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

自分にできるかな、と、みんな思わず考えてしまうでしょう。



インドも寡聞に漏れず、「シリアル(連続ドラマ)」は主婦層に大人気だが、その黄金テーマと言えば、今も昔も、嫁姑の確執。
毎回、似たようなテーマやストーリーで、よくも呆れたり、飽きたりしないもんだなぁと、なかば感心してしまうが、わが姑も数本のシリアルを毎晩はしごして、楽しんでいるようだ。
 
ただ、演技上の決まりなのか、登場人物が一定の長さで区切ってセリフを発することが多いため比較的聞き取りやすく、語学の習得に利用するにはよいかもしれない。
 
それはさておき、そんな「シリアルの王道ストーリー」とは真反対の、温かな関係を築いた嫁姑のお話が、今月はじめのタイムズ・オブ・インディアにて報じられていた。
 
首都デリーに住む、重度の腎臓疾患を抱える36歳の女性が、65歳の姑の提供した腎臓の移植に成功し、一命を取り留めるという出来事があった。
 
この女性のドナーとして、当初は家族の中から実母が片方の腎臓を提供することが決まっていたが、恐ろしくなったのか直前になって拒否するという事態が発生してしまった。
そこに姑が、「適合するのであれば私の腎臓を使ってください」と進み出たため、万事休すの危機に頭を抱えた医師たちを驚かせた。
 
幸い、血液型など詳細な検査を行った結果、移植が可能なことが判明したため、すぐさま腎臓移植手術を行い、結果として女性の命は救われた。
 
手術を担当した医師も、「義理の母親の腎臓だが、患者の体内で健全に機能している。よくあるシリアルとは異なり、現実の嫁姑の関係はずっと美しい」と評している。
 
そもそも、よほど性格や行動に問題ある人でない限り、義理の家族のことをハッキリ「善悪」でレッテル貼りできる人などいないだろう。
あり得ないほどワガママな嫁や意地悪な姑が登場する、シリアルのシナリオは、現実離れしているが、日頃思い切り相手を全否定できないからこそ、スカッとする、ということもあるかもしれない。

こういったシリアルを見慣れている女性たちの多くは、きっと現実では優しい嫁であり、姑であるに違いない、と希望を持たせてくれる記事であった。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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