先週、パキスタンのカラーチーの大学で学ぶヒンドゥ教徒の学生たちが、現地にあるヒンドゥ寺院でホーリー祭りを祝う間、他の学生たちが「人間の盾」となって、同国では少数派にあたるヒンドゥ教徒たちを万一の迫害から守っていたことが分かった。
NDTVその他が報じた。
今年1月30日にシンド州シカールプールで発生した、イスラーム教シーア派の集会に爆発物が投げ込まれ、60名以上が殺害された事件を受け、進歩派左翼団体としても知られる、パキスタンの全国学生連盟(National Student's Federation:NSF)に所属する学生たちが、宗教や民族の多様性とその共存を促進する試みの一環として「人間の盾」を作り、ヒンドゥ教徒の学生たちの祝いを見守った。
同団体は今回の行動について、パキスタンの日刊紙ドーン(Dawn)に、「(パキスタンでは少数派にあたる)シーア派イスラーム教徒との連携・共存を唱えるなら、より少数派であり、(同国で見られるような)ヒンドゥ寺院の冒涜や、(特に結婚を機会とする)女子に対するイスラーム改宗の強制など、日常的に迫害にさらされているヒンドゥ教徒らに対しても同じ態度で接するのが礼儀だ。社会全体が変化の一端を担う覚悟がないと、この国は変わらない。誰かの権利を守るために今、立ち上がらない者は、将来自分の権利が侵されても、誰も立ち上がってくれることはないだろう」と話した。
シーア派に対する暴力や迫害は、パキスタン国内で断続的に発生しており、深刻な事態であるとみなされている。
パキスタンには多数派のイスラーム教徒のほか、圧倒的少数ではあるがヒンドゥ教徒やキリスト教徒、そして隣国イランを起源とするとされるゾロアスター教の信者たちも暮らしている。
*Photo from NDTV