女児であったことを理由に実親に不当に遺棄され、お情けで育ててくれた義理の親に12歳の時に無理やり結婚させられ、13歳で最初の子供を出産するという壮絶な人生を歩んできたカシミール地方出身女性作家の手記が、日本語にも翻訳され出版されているらしいことを、以下の「The Better India」記事で知った。

Child Bride at 12, Mother at 13: How a Domestic Help Became a Bestselling Author! - The Better India

友達と遊んでいたある日、突然養父母の自宅に呼び戻されてサリーを着させられ、14歳も年上の男性と何の合意もなく結婚させられたベイビー・ハルダー（Baby Halder）さん。
「男性の家についてくるように言われるまで、いつものプージャ（Pooja：祈祷）だと信じて疑わなかった」

この「結婚」の初夜から、「夫」となった見知らぬ男性からの暴行と、召使い同然の扱いが10年以上続いた。
しかしハルダーさんは25歳の時、3人の子供たちと列車に飛び乗り、新しい生活を始めるためデリーに逃げた。

デリーでは、子育てをしながら数世帯の家庭を掛け持ちし、家事手伝いとして働き生計を受けた。
多くの家で屈辱的な差別扱いを受けながら、必死で働いていたある時、現役時代に人類学教授だったプラボード・クマール（Prabodh Kumar）氏の家にで働き始めることになり、運命が大きく変わる。
プラボード氏は、ヒンディー語の著述家ムンシー・プレムチャーンド（Munshi Premchand）氏の孫にあたる。

この教授の家庭で4年間仕事をしていた合間、誰も見ていない時に書架に収蔵してあった書籍を取り出しては読み、また元に戻すということを日課にするようになる。
ほどなく教授は、ハルダーさんがあらゆる分野の書籍に興味があることに気づき、「自分の好きなことを始めるのに遅すぎることはない」と読書を奨励した。

ある時、南インドに出かけプラボード教授が、ハルダーさんにペンと紙を渡し、留守中に心の中にあることを書き留めるよう勧めた。

困惑したハルダーさんだが、気づけば自らの失われた少女期、新婚初夜の恐怖、13歳という幼さで経験した耐え難い陣痛、夫からの家庭内虐待により傷ついた心身など、気づけば100ページ以上の手記を書き上げていた。

こうして2002年に出版されたのが、ハルダーさんの最初の書籍となる自伝、「Aalo Aandhari（Light and Darkness）」だ。
作品は2006年に英訳されてベストセラーになっている。

少し検索してみたら、BBCで2004年にハルダーさんを取り上げた記事を公開していた。

From maid to bestselling author - BBC (Tuesday, 21 September, 2004)

またWikipediaにも同書籍が日本語に翻訳された旨を記載しているが、どこにも見つからない。

Baby Halder - Wikipedia

ハルダーさんはその後、さらに2冊の書籍を出版して金銭的に自立し、3人の子供たちとコルカタで暮らしている。

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