「ムンバイのヴィクトリア朝とアール・デコの遺産群」が世界遺産に登録
Posted on 03 Jul 2018 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh
マリーン・ドライブ沿いに立ち並ぶ、あのアパートメント群が、世界遺産に登録されることになりました。
バーレーンの首都マナーマ(Manama)で開催中の第42回世界遺産委員会で、インドからは「ムンバイのヴィクトリア朝とアール・デコの遺産群(Victorian and Art Deco Ensemble of Mumbai)」が新たに登録されることになった。
「First Post」その他が伝えた。
Mumbai's Victorian Gothic and Art Deco buildings get UNESCO's world heritage tag
参考:
目指せ「インドのマイアミ」 知られざるムンバイのアールデコ建築 - AFPBB
Art Deco Mumbai
クリケット競技場オーバルマイダン(Oval Maidan)を挟んで西側のアラビア海に面し、ムンバイーでも随一の景観を誇るマリーン・ドライブ、通称「女王のネックレス(Queen's Necklace)」に立ち並ぶ200あまりのアールデコ建築群(1930年代から50年代にかけて建設)と、東側に立ち並ぶ19世紀に建てられたボンベイ高等裁判所(Bombay High Court)やムンバイー大学(Mumbai University)などのヴィクトリア様式の建築群が、このたびユネスコの世界遺産に登録されることになった。
記事中でムンバイーのアールデコ建築群の保護活動を長年にわたり続けてきた「Art Deco Mumbai」創始者、アトゥール・クマール(Atul Kumar)氏は、「植民地支配に対する、インド人富豪たちなりの対抗として、まったく新しい現代的なデザインを採り入れて建てられた建築群だ」と述べている。
「日本大百科全書(ニッポニカ)」による、「アールデコ」の定義は次の通りである。
「(引用開始)アール・デコラティフ(装飾美術)の略称。ただし1925年にパリで開かれた「現代装飾美術・産業美術国際展」を特色づける装飾のスタイルをさしていう。1925年様式ともよばれる。流れるような曲線を愛好したアール・ヌーボーとは対照的に、基本形態の反復、同心円、ジグザグなど、幾何学への好みが顕著にみられる。機械の時代に入った新生活との関連が当然指摘されるのだが、幾何学形態はかならずしも合理的かつ機能的な解決によって処理されず、むしろ優雅な趣味に裏づけされている。アール・デコの源泉の一つが異国情緒にあふれたロシア・バレエ団にあったことからも明らかなように、あるときは華麗な色彩を得て幾何学形態が繰り広げられた。この意味から、同じく1925年展にル・コルビュジエが純正な幾何学に基づいて出陳した「エスプリ・ヌーボー(新精神)」館は、際だった合理的精神において、アール・デコと一線を画するものがあった。(中略)1930年前後のニューヨークの建築装飾にも興味深いアール・デコ様式が現れている。(引用終了)」
世界遺産に登録されることにより、こうした文化的にも歴史的にも貴重な建築物が保護の対象となることの意義は非常に大きい。
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Yoko Deshmukh
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インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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