セレブリティシェフのヴィカス・カンナさん、命の恩人だったイスラーム教徒一家に再会

 

Posted on 18 Jun 2018 21:00 in 海外のインド人 by Yoko Deshmukh

成功を手にする人の運命は、紙一重であることをつくづく思い至らせてくれます。



※Picture from India Today.
 

パンジャーブ州アムリトサル出身で、現在ニューヨークを拠点とするセレブリティシェフのヴィカス・カンナ(Vikas Khanna)さん。
テレビ番組出演やレストラン経営の傍ら、イノベーティブなインド料理のレシピを数々紹介している。

Recipes by Masterchef Vikas Khanna

そのヴィカス・カンナさんはヒンドゥー教徒だが、ラマダン月には1日、イスラーム教徒と同じように断食する。
なぜだろうか。
理由は1992年、ムンバイーでヒンドゥー教徒とイスラーム教徒との間で大規模な暴動が発生した時にさかのぼる。
NDTV電子版が伝えた。

Chef Vikas Khanna Finds Muslim Family That Saved Him During Mumbai Riots - NDTV

ヴィカスさんが当時ムンバイーのバンドラフォート(Bandra Fort)近くのシーロックシェラトンホテル(Sea Rock Sheraton)で働いていた1992年、シフトを終えて外へ出ると、街は暴徒に占拠され、非常に危険な状態だった。



 

当時ホテル内で働いていたスタッフたちは、宿泊客の安全を守るために外出できなくなり、また援護スタッフも近づけないほどの混乱の中にあった。

「宿泊客たちのために、貯蔵庫に保管されていた卵などを使った料理をすることを言いつけられていたが、弟のいるガートコパール(Ghatkopar)で大火災が発生し、多くの死者が出ていることを知り、居ても立っても居られなくなって危険を冒してホテルを飛び出した」、俳優であり、プネーの「映画・テレビ専門学校(Film and Television Institute of India)」の会長を務めるアヌパム・ケール(Anupam Kher)氏のインタビューで回想する。



 

「ともかくガートコパールに向かおうと歩き始めたが、暴徒は至る所におり、いつ自分の命も狙われるか分からない状態だった。交差点を渡ろうとした時、ふと気づくとイスラーム教徒の一家が、私にどこへ向かっているのかと尋ねてきた。行き先を告げ、弟がいるが行き方が分からない、と答えると、『とにかく家に入れ』と促された。」

しばらくすると暴徒たちが家に押しかけてきた。
「僕を見て、『誰だ』と尋ねられ、家族たちは『うちの息子で、イスラーム教徒だ』と答えてくれた。その後1日半ほど匿われ、その間に家族の誰かがガートコパールまで、弟が無事であることを確認しにまで行ってくれた。」

ヴィカスさんはその後ほどなくして渡米したが、たびたびこの時の出来事を振り返り、助けてくれた家族に再会したいと願っていたようだ。



 

そして今年、長年の追跡が実り、ついにこの家族との再会が叶ったことをソーシャルメディアで報告している。







    



About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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