アメリカのGoogle Storeで注文した商品が海を渡り、わたしに与えてくれた「教訓」

 

Posted on 18 Dec 2017 22:00 in ASKSiddhiのひとりごと by Yoko Deshmukh

苦情を申し立てる電子メールを作成していた時、現地採用社員だったころ、プロジェクトで問題が発生し、インド人同僚との間で議論を戦わせていた日々をひさしぶりに思い出していました。苦情や混乱の時ほど、理路整然としていなければ伝わらないからでしょう。



インドでも11月に発売されたGoogleの純正スマートフォン、「Pixel 2」。

何度も言うが、価格は6万1,000ルピーと先進諸国の1.5倍もし、わたしには分不相応すぎる高額だったにもかかわらず、最新テクノロジーとやらを体験してみたかったことと、高性能なデジタルカメラの購入を考えていたことから、コストパフォーマンス面を熟考し、シッダールタともじっくり議論の上で、奮発したのだ。
しかし、せっかく買ったのだから最大限に楽しみたいと、あれこれ調子に乗りすぎたわたしがいけなかったか。

先月末の「ブラックフライデー」に、アメリカのGoogle Storeを眺めていたら、「Google Home Mini」や、日本でもインドでも未発売のバーチャルリアリティ用ヘッドセット「Daydream View」が値下げされていた。
そこで、この2点を、やはり日本にもインドにも見当たらない、かっこいいデザインのGoogle純正Pixel 2用カバーと一緒に注文した。

さて、日本とインドにしか住所のないわたしが、こうした商品を入手するためには、アメリカに住所が必要となる。
しかしアメリカに親戚がいるとは言え、こういった買い物を送ってもらえるほどの仲ではないし、それに自分の楽しみのために人の手を煩わせるのは気が引ける。

そこで、アメリカから海外へ、購入した商品の出荷を代行してくれる転送サービス業者として、ネット上で評判のよかった「Stackry」に私書箱を作成し、アメリカ国内での買い物の受け皿とした。
いまやアメリカ国内にもこのような転送サービス業者はいろいろあって、誰もが気軽に個人輸入もどきを楽しめるようになっている。

なお、わたしも含めた海外在住者にとっては、海外転送サービスと言えば「転送コム」に代表されるような、自由にネットショッピングした日本の商品を、プネーなど海外在住先まで送ってくれるもの、というイメージがあって、初めからあまり抵抗はなかった。
Googleでの注文後、すべての商品がStackry私書箱に到着したことは、Googleアカウント上でも、配送業者FedEXサイト上でも追跡できた。

ところが今回のGoogle Storeでの買い物は、タイミングを読み誤り、うっかりフライングで注文した(ディスカウント適用前の)商品をいったん、Stackryスタッフに返品してもらわねばならなくなった。

返品プロセスを伴うことから、他の正しく注文した商品の日本への発送を急ぎたいところだがぐっとこらえ、まずStackry倉庫からGoogle社に、確実に返品が行われるまで待った。
返品したい商品は2点あり、Googleに返品依頼すると、それぞれの商品名が明記されたPDF版の返品伝票が発行される。
Stackryには、対象の商品の詳細を列記した電子メールに、この返品伝票を添付し、返品代行を依頼した。

Stackryからいずれも返品完了との連絡が入ったほぼ翌日には、返品対象商品2点のうち、価格の低いもの(30ドルほどのVRヘッドセット用ケース)について、Google社からクレジットカードに返金があり、「さすがだな」とすっかり安心した。

実際には、もう1点の価格の大きいもの(フライングで注文してしまったDaydream View)については依然として返金されておらず、これについては「返金済み」と主張するGoogleと、カード会社に問い合わせ中だ。

話を返品に戻すと、Stackry担当者とはメールで数回やり取りし、「対象商品の返品はすべて終えている」ことを確認した。
商品名がはっきりと記載された返品伝票の存在もあるし、何度も念押ししているから間違いようがないだろうし、すっかり安心したわたしは、いよいよ日本への発送という段階になった荷物の中身については、指差しレベルでの確認までしていなかった。
実は「Stackry」には「発送前の商品の写真撮影を依頼」という機能もあるのだが、大丈夫だろうと高をくくり、そのまま発送依頼を出してしまったのだ。

「注文した点数マイナス返品対象の商品イコール『当然』正しい」と想定したのである。
一時帰国期間が長すぎて、すっかりジャパンぼけしてしまったのかな。

数日後、待ちわびた箱が福岡に届き、2,000円ほどの関税を支払って受け取った。
開けてビックリ、なんと既に購入元からの返金も受けた、「確実に」返品されたはずの商品が、箱から出てきたのである。
その代わり、注文したはずの「Google Home Mini」が見当たらない。

現在、なぜこのような間違いが起こったのかと、Stackry担当者に苦情を申し立てているが、「完璧なサービス」は「完璧なフォローアップ」なしにはあり得ないという買い物文化は、何もインドの専売特許ではなく、日本を一歩出た世界では標準なのだな、ということを垣間見ることができたことは、実はちょっとうれしかったりもする。
同時に、自分が想定する仕事の流れと、実際に現場で起こっていることとの間には、かなりのギャップがあり得るのだということは、常に考えておくべきことだと肝に銘じた。





        



About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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