「お金を出すあなたが、これを買いたいと思うか?」と問える17歳
Posted on 21 Apr 2017 23:00 in ASKSiddhiのひとりごと by Yoko Deshmukh
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福岡で過ごすためにプネーを発つまでの1週間、試験を終えて束の間の夏休みを過ごしに、17歳の「伯父さん(わが夫)キラー」、シッディちゃんがわが家にホームステイしていた。
祖父母とのほぼ二世帯同居、比較的若い両親、しっかり者の姉に可愛がられ、すくすくと育ってきた甘えんぼの彼女だが、生まれて初めて親元をひとり離れて過ごしていたにしては、注意したことはたいてい一度で守れたし、自宅で仕事をしているわたしの邪魔にならないよう配慮してくれてたし、とてもがんばれた。
中でも一番驚いたことがある。
それはある日、近所のショッピングモール「Phoenix Marketcity」に買い物にでかけた時のこと。
その日、伯父さん(わが夫)はオフィスで終日忙しかったので、わたしも仕事の合間ながら、シッディちゃんとふたりきりでお茶をしたり、お店を冷やかしたりという「女タイム」を満喫していた。
ただし伯父さんから渡されたお小遣いは、たった500ルピー。
この金額の範囲内で、好きなものを買いなさいと言われていた。
モール中を2時間ほど物色し、シッディちゃんが気に入った唯一の服の値段は699ルピーで、予算が200ルピーほど足りなかった。
その間、カフェで仕事をしていたわたしは、シッディちゃんからこのような事情を聴き、「どうしても手に入れたい服なのか」と訊ねた。
シッディちゃんは小首をかしげて、「色はこうで、デザインはこう、長さはこのくらいなの。とても素敵だったわよ」と言うので、仕事を早めに切り上げ、2人でお目当ての商品を売る店に見に行った。
ハンガーにかかった、その鮮やかなピンク色の服は、確かにシッディちゃんのようなティーンエイジャーにはよく似合いそうだが、率直に言えば特別なものではなく、ありふれていた。
でも、わたしとしては、ふだんアコラ(Akola)のように買い物の選択肢が非常に限られ、楽しみも少ない町で、勉強ばかりをして過ごしている姪が欲しいというものなら、買ってあげたい気がした。
「シッディちゃんが欲しいと思うなら、わたしが200ルピー足すから、買ったらいいよ」と申し出たわたしに、シッディちゃんが逆に問いかけた。
「伯母さんだったら、この服に699ルピー出して買う?それだけの価値があると思える?」
う~~~~ん、それは、「ノーだね」
正直に答えると、「じゃ、いらないわ」とあっさり諦めたのだった。
わたしが高校生のころ、大人に何かを買ってもらえるせっかくのチャンスを、その当の大人の一声で、こんなに簡単に振り切れたかなぁ。
わが姪ながら、この2人姉妹には、はっとさせられることがよくあるのだ。
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Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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