プネはかつてないレストラン激選区へ:新店を選ぶか、安定の老舗を選ぶか
Posted on 24 Aug 2016 23:00 in ASKSiddhiのひとりごと by Yoko Deshmukh
レストランの評価が、ネットの力であっという間に広がる時代だからなのか、レストランの栄枯盛衰が非常に激しいプネです。
最近のプネは新しいレストランやカフェが次々にオープンし、飲食店にとって激選区という感じになってきている。
オープン当時に注目を集め、実際に味もおいしくサービスがそこそこよくても、1〜2年で閉店する店がいっぱいある。
わたしは「プネの羅針盤」、よっすぃ〜が教えてくれるおかげで、この数年は新店を体験する機会に恵まれているが、「あれっ、あんなにおいしくて雰囲気もよかったのに、もう閉店してしまったの?」という店が、わが家の近所であり主な行動範囲であるカルヤニナガル、コレガオンパーク、ドレパティル・ロードを中心に、この半年ほどの間に把握してるだけでも2、3軒はある。
閉店の理由はそれぞれだろうから一概には言えないが、レストラン評価サイトゾマト(Zomato)の台頭により、消費者が店のサービスや質を評価し、拡散する時代になってきたことに、店側がうまくついていけていないということもあるかもしれない。
だから5年、ましてや10年も続いている店は、それだけで大成功という状況となっている。
それに、そうした店はゾマトの登場以前から存在しているため、安定したファンがすでにおり、また建物こそ老朽化していても、肝心の料理はいつも変わらない品質のものを出し続けており安心できる。
怒涛の新店進出にも揺るがず、同じ場所で長く営業しており、しかもおいしい店は、わが家の近所で言えば「Bounty’s Sizzler」や、「Prem’s」、「Arthur’s Theme」などだ(いずれもビールなどのアルコールが飲める店)。
共通点は、どちらかと言うと店内は小汚く、たとえて言うと「ヨーロッパの大衆食堂的」な佇まいなのだが、いつ行っても満足する料理を、その時代に合わせた妥当な値段で出してくれる。
だから周辺に新しい店がいっぱいオープンしていることは知っていても、わたしのようなプネの古株はつい、安心感を求めて、こうした店に足が向く。
そしてインド(特にプネ)において、「いつも安心して安定した質の食事を、比較的リーズナブルに」楽しめる店は、実はそれほど多くないことに気づかされる。
オープン当初ははりきって、訪れるわたしたちを感動させてくれた店も、数ヶ月もすればメッキが剥がれ落ち、2度目の訪問では、まるで別の店に来てしまったのではないかと錯覚するような、客を無視した利益優先主義に陥ってしまっているところも少なくない。
だからこそ、ゾマトが重宝されているのだろう。
ところで、よっすぃ〜が教えてくれた新しい店の中で、最近ファンになったのは、プラバート・ロード(Prabhat Road)にできたイタリア料理店「Le Plaisir」だ。
ここは料理はもちろん、マカロンやチーズケーキなどのデザートも絶品で、しかも比較的リーズナブルなため、プネにおいては非常に珍しいことに、オープンして1年ぐらい経過していると思われる現在でも、ランチタイムには行列ができるほどの超人気店となっている。
しかも行列のさばき方が秀逸だった。
名前と電話番号をお店の人に言えば、モバイル端末に登録してくれ、推定時間を教えてくれた上で、ちゃんと順番通りに案内してくれるのだ。
日本ではこのようなことは当たり前なのかもしれないが、ここはインド。
本当に感動した。
このように書いていくと、フリーランスの端くれであるわたしも、お客様に選び続けてもらうためには、市場のトレンドを注視することも大切だが、それよりも「お客様の立場から、お客様の満足を追求する」という基本的な姿勢が一番重要なのだ、と納得している。
About the author
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Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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