仕事とは何か、ムンバイ路上で花を売る男性に学ぶ

 

Posted on 31 May 2016 23:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

「悩んだら原点に戻ろう」と、その生涯を賭して静かに、わたしたちに教えてくれる人たちがいます。



*The photo from Humans of Bombay

「Humans of Bombay」は、少し悩んでいる時に読むとじんわり心に訴えかけてくる。

本日付の記事では、ある花売りの男性が紹介されていた。

Humans of Bombay, 30th May 2016

「13歳の時から工場労働者として働き始めたが、労働組合のストライキをきっかけに解雇され、職を失った。

25年前、花売りという仕事と出会い、以来これがわしの収入源だ。

毎朝3時に起き、始発のローカル(ムンバイ市内各所を結ぶ通勤・通学列車)に乗り込んでダーダール(Dadar)の花市場に出かけてその日の花を仕入れ、(新興住宅地として近年著しく発展している)ボリヴァリ(Borivali)に午前7時までに到着、午後9時半までそこで花を売っている。

13歳の時、勉学を諦めなければならなかったが、本当はものすごく勉強したかったことを覚えている。
あの時、自分に誓ったんだ、将来わしの子供たちには、決して同じ思いをさせないってな。

わしには2人の子供たちがいるよ。
1人は大学を卒業し、金融会社で働く娘、もう1人は大学2回生の息子さ。
たくさんの夢を抱いてきた中で、叶えたもののひとつだな。

あなたにとっては取るに足らないことかもしれない。
しかし、わしにとって、(子供たちに大学教育まで受けさせたことこそが)この25年間、毎日15時間の仕事に取り組んできたことの成果であり、大いなる意味のあることなのさ。」 

現代の、比較的恵まれた境遇に身を置く人々にとって、時に仕事とは食べていくためのこと以上の意味や価値を持つものであり、だからこそ仕事と真剣に向き合う時に苦悩が生まれたり、反省や後悔に苛まれることもあるだろう。
今のわたしがまさにそうだ。

男性の話に接することで、再び仕事の原点を直視したような気持ちがする。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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