BBCオンラインニュースを眺めていたら、人気パキスタン映画がインドでの上映を見送られているという記事を見かけた。

The Legend of Maula Jatt_ India puts blockbuster Pakistani film on hold

この作品「The Legend of Maula Jatt」は、パキスタンでは2022年に公開され、同国史上最高の興行収入を記録、大ヒットしている。

パキスタンで最も勢いのあるスターで、ボリウッド映画に出演したこともありインドでも知名度の高いファワド・カーン（Fawad Khan）とマヒラ・カーン（Mahira Khan）が主演する、1979年のパンジャーブ語同名作品のリメイク版で、今月2日にインドのパンジャーブ州で公開予定だった。
公開されていれば10年以上ぶりにインドで上映されるパキスタン映画となるはずだった。

BBCによると、特にマハーラーシュトラ州（インド最大の映画産業ボリウッドが拠点とするムンバイーを州都とする）の極右政党、マハーラーシュトラ・ナヴニルマン・セーナー（Maharashtra Navnirman Sena）が、「いかなる状況下でもこの映画の公開を認めない」と抗議している。

政府間の緊張関係にもかかわらず、インドとパキスタンでは、互いの芸術と文化を常に交流、パキスタンとインドで制作された映画やウェブシリーズは、国境を越えて広く流通している。
ボリウッド映画や（言語の共通する）パンジャーブ語映画は、パキスタンで特に人気があり、またパキスタンのシリーズはインドで多くの視聴者を獲得している。
俳優や芸術家らも、国境を越えたコラボレーションを続けた歴史を誇る。

一方、2016年にボリウッドがパキスタン人俳優の起用を取りやめる決定を出し、また2019年にパキスタンが両国間の軍事的緊張を理由にインド映画を禁止するなどのセットバックも経験した。
それでも2023年にはインドの最高裁が、パキスタン出身俳優の全面禁止を求める請願を却下、請願者らに「あまりに視野が狭い」と通告し、緩やかな関係改善が見られたかに見える。

こうした話題を目にするたび、パキスタン人（ドイツ国籍）の「Wildlens by Abrar」さんによる「インド旅」が、両国の善良な市民の姿をありのままに映す、尊いものであることを、あらためて思い知らされる。
 

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