気候変動がインドの再生可能エネルギーへの取り組みに与える影響について解説する記事を見つけた。

How Changing Climate Could Impact India’s Renewables Journey

上の記事では、化石燃料への依存を減らすための努力の一環として、政府を挙げて再生可能エネルギー生産に目を向ける中で、見落としてはならないポイントとして、すでに変化している気候の影響について詳しく説明している。

政府は2030年までにエネルギーの50パーセントを、2070年までに100パーセントを非化石燃料で生産することを目指している。
そうした中、プネーのインド熱帯気象研究所（Indian Institute of Tropical Meteorology、IITM）の研究では、気温、風向きや風速、降雨量の変化が、太陽光発電および風力発電の生産性に影響を与える可能性があることが判明した。

過去55年間にわたるシミュレーションデータを調査し、傾向分析や有意性検定などの高度な統計にかけ、今後55年間の太陽放射および風の変化の予想をもとにした再生可能エネルギー源のパフォーマンスを予測した。
その結果、季節風の速度および年間風速が北部インドでは減少し、南部インドでは増加する可能性が高く、また日射量は、今後50年間にわたって季節を問わず減少すると推定されている。

同研究所では、正確な気象予報を通じてその要因を予測できるようになれば、エネルギー業界では発電できるエネルギー量をある程度正確に見積もることができるようになるとしている。
そこで、いずれも国連で使用されている気候モデルである地域気候ダウンスケーリング調整実験（Coordinated Regional Climate Downscaling Experiment、CORDEX）や、結合モデル相互比較プロジェクト（Coupled Model Intercomparison Project、CMI）フェーズ5やフェーズ6などを使用して、全土での50年間にわたる気候予測を試みている。

将来の風力発電と太陽光発電の効率低下を正しく予想することで、発電網の拡大や効率化のための技術研究開発への投資に備えると同時に、意思決定者への情報提供のために、変化する気候条件がエネルギーシステムに及ぼす影響に関し、リアルタイムデータを維持することが欠かせない。

なお、インドの風力発電設備のおよそ95パーセントが、アーンドラ・プラデーシュ州、グジャーラート州、カルナータカ州、マハーラーシュトラ州、ラジャスターン州、タミル・ナードゥ州に集中している。
太陽光発電プロジェクトについてはマハーラーシュトラ州が最大で、発電設備容量は1,800メガワットを超え、屋上太陽光発電容量は国内4位の230メガワット近くに達する。

また高温下では、太陽光発電所の出力が減少することから、気温が平均より高くなると太陽光発電所の出力が大きく落ち込む可能性がある。
暑さによる雲の形成増大による発電効率低下も懸念される。

このよように、エネルギー需要に対する風力と太陽光への依存が高まるインド国内では、気候変動の影響を無視できない。
研究結果では、気候変動がこれらのエネルギー源に及ぼす影響を軽減できるか否かが、今後のエネルギー転換政策を左右すると示している。

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