プネーと名古屋の研究グループ、共同で暗黒物質の謎に迫る
Posted on 04 Apr 2023 21:00 in インド科学技術 by Yoko Deshmukh
インドは太古から天文学の先進国だったんだもんな。
プネーに拠点を置く「天文学および天体物理学のための大学間センター(Inter-University Center for Astronomy and Astrophysics、IUCAA)のスルフッド・モレ(Surhud More)氏率いる国際研究チームが、ハワイのすばる望遠鏡からの画像を使用して、宇宙の暗黒物質の構造を特徴づけることに成功した。
Gravitational Lensing Helps Scientists See Dark Matter _ Pune News - Times of India
アインシュタインの一般相対性理論によると、光は巨大な物体の近くを通過すると、重力レンズ効果と呼ばれる現象により曲がるとされている。
プネーの研究チームは、この重力レンズ効果を利用して宇宙の物質の「塊」を測定し、それを他の観測によって予測された値と比較したところ、測定値の方が小さくなり、暗黒物質と暗黒エネルギーについての理解を深めることができたとしている。
IUCAAが発行した声明によると、分析の結果は5本の研究記事にまとめられている。
「無数にある銀河の画像から重力レンズ効果の信号を細心の注意を払って引き出すことは、信号を測定してモデル化するために何年もかかる困難な作業だった。重力レンズ効果を利用して、宇宙の暗黒物質と、それが銀河の周りにどのように分布しているかを、医療用CTスキャンのように、地球からの距離がそれぞれ異なる、複数の断層スライスを用いてマッピングした。宇宙の暗黒物質の密度と物質の塊の量は、その構造が時間とともにどのように進化するかを理解するために重要であり、このように宇宙の暗黒物質を断層撮影法、つまり3Dでマッピングすることにより、宇宙論モデルの厳密なテストを実行できる」、IUCAAはその概要をまとめている。
モレ氏はIUCAAの准教授として、名古屋大学の宮武広直(Hironao Miyatake)准教授と共にHSCの弱い重力レンズ効果(weak lensing)作業部会の議長を務めている。
IUCAAでは、宇宙研究者らに「S8」と呼ばれている宇宙の物質の塊の値を0.76と測定した。
この値は他の重力レンズによる調査が比較的最近の宇宙を観察して発見した値と一致するが、宇宙マイクロ波背景放射(Cosmic Microwave Background、CMB)が、38万歳だった宇宙の起源にさかのぼった予測値0.83の値とは一致しなかった。
観測には、ハワイのマウナケア山頂にある直径8.2メートルのすばる望遠鏡に搭載された、世界屈指の天文カメラとされる「Hyper Suprime-Cam(HSC)」を使用した、とモレ氏は述べている。
HSCの共同研究は、日本、台湾、および米プリンストン大学の天文学者が中心となって進めている。
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Yoko Deshmukh
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インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
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