トランスジェンダーが、少しずつインド社会で地位を築き始めている兆候が、またひとつ報じられた。
西ベンガル州にあるクリシュナガル女子大学(Krishnagar Women's College)では、インドで初めて、トランスジェンダーを学長に迎えることになった。
タイムズ・オブ・インディアほかが報じた。
今回、同大学の学長として任命されたのは、現在同州ヴィヴェーカーナンダ・サトバルシキ・マハヴィディヤラヤ(Vivekananda Satobarshiki Mahavidyalaya)大学で准教授を務めるマナビ・マンドパンディヤイ(Manabi Bandopadhyay)さん。
今月9日付で、新しい職場に配属される。
今回の決定は、マナビさんの人格面、教育技能面、そして教育者としての高い資質などを総合評価した大学運営側によるもの。
これを受けて、同州のパルター・チャッタジー(Partha Chatterjee)教育大臣も、大学を高く評価している。
男性として生まれたが、女性の心を持つトランジェンダーであるマナビさんには、養子として迎えた息子と、92歳になる父がおり、マナビさんを知る同僚や学生たちとともに、今回の栄光に大いに喜んでいるという。
常にファッションや身だしなみに気遣い、エレガントに装っているマナビさんは、この輝かしい日を迎えて一段と美に磨きをかけていたという。
就任先の大学でも、学生たちを中心に「女性のインスピレーション」としてのマナビさんを大歓迎している。
一方でマナビさんはもちろん、トランスジェンダーを巡る問題は、根深く存在することも忘れてはいない。
「数日前に、両親からの圧力に耐えかねて、州内で未成年が自殺するという事件があった。精神的サポートを得られるかどうかが、その人生を大きく左右することは言うまでもない」マナビさん。
広いインドでは、トランジェンダーを巡る宗教、文化、社会といった側面からの強い制約が、まだまだ広い地域で厳然と残っている。
いつの日か、トランスジェンダーが政治、経済、メディアで堂々と活躍できる時代が到来するだろうか。