プネーの公衆トイレ革命に、意外な救世主
Posted on 05 Jan 2019 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh
今こそ、きれいな場所をきれいに保つよう心掛ける教育をすべき時です。
シッダールタの姪、Rちゃんはマハーラーシュトラ州東部の地方都市アコラ(Akola)出身の23歳、2017年からプネーの大学で日本語を学んでいる。
「きれいな公衆トイレ」というものの存在を知らずに育ってきたはずの彼女だが、プネーでともに食事や買い物などでおでかけをともにする時、それこそショッピングモールやファイブスターホテルなどのような場所ですら、めったに公衆トイレを利用しようとせず、自宅まで我慢していることが多い。
本能的に、「公衆トイレは汚い」という刷り込みがあるのかもしれない。
それは何も、日本に2回も行ったことがあるRちゃんだけの現象ではなさそうだ。
「Civil Society News」が、プネーで移動式の清潔なトイレを作った女性2人の試みを紹介していた。
Old bus, new restroom! In Pune women get toilets - Civil Society News
大都市プネーでも、多くの女性が外出先でのトイレの使用をためらっている現実がある。
数こそ少ないものの、プネー市内には各所に公衆トイレがある。
しかし、限られた数の女性用トイレも、手入れが行き届いておらず常に汚れており、使うのに勇気がいる状態であることは確かだ。
そうした問題を嘆いたり、避けて通ったりすることは簡単だ。
ところが若い起業家、ウルカ・サダルカル(Ulka Sadalkar)さんとラジーウ・ケール(Rajeev Kher)さんは、状況を打開するために、意外なアイデアを思い付いた。
それは、廃車となったバスを改装し、清潔な公衆トイレとして再利用するというもの。
2016年から展開しているこの活動の主旨について、サダルカルさんは、「どこかで、路上生活者のためのトイレに古いバスを使っている事例を目にし、このアイデアをプネーに持ち込みたいと思った。インド政府が推進する『クリーン・インド(Swachh Bharat)』キャンペーンや、プネーの『スマート・シティ(Smart City)』イニシアチブにも、比較的簡単に設置できる清潔なトイレの存在は不可欠だ」と説明する。
2人が共同経営する会社、「サーラプラスト(Saraplast)」ではこの楽しい移動式トイレに、マラーティー語で女性を指す三人称(英語だとSheやHerにあたる)を「Toilet Integration(トイレの統合)」とかけた「Ti(ティ)」と名付けて普及を目指している。
「トイレに生まれ変わったバスは太陽光エネルギーを利用して照明や洗浄を行っている。洋式トイレ、インド式トイレ、洗面台、おむつ替え台、そしてサニタリーパッドを用意している。『公衆トイレは汚い』という先入観を取り払いたい」
「ティ」1台で1日150人から、多い時で300人の利用者があるという。
また、使用後に必ず手を洗うことを習慣づけさせるよう、導線に工夫するとともに、手を洗いながら公衆衛生に関して学ぶことができるようにビデオ上映もしている。
当初は無料で開放していたが、現在はこのモデルを持続させるためにやむなく、利用料として5ルピーを請求している。
2人は今後、このトイレを中心に、WiFiスポットやフィットネスセンター、屋台を展開し、低所得者らが集い、憩える場所作りを目指している。
プネーに帰ったら、このバス型公衆トイレ「ティ」を探してみよう。
わたしの意見では、男性用、女性用を問わず、きれいな公衆トイレを整備することは、人々に公共の場所を使う時の配慮について教育することとセットで実施していかなければ意味がない。
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Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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