11月23日付「The News Minute」が、ケーララ州コーチで40年にわたって小さなチャーイ(茶)店を営み、極めてつましい生活を送りながらも、この10年で妻と16カ国を旅行、幼い頃からの夢と情熱を大切に生きているヴィジャヤンさん(65)のストーリーを紹介した。
ヴィジャヤンさんはこれまで、チャーイ店での売り上げを唯一の収入源としながらも、イギリス、フランス、オーストリア、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)など、世界中の人気観光地を妻と一緒に旅してきた。
「旅行のための支出は少しも惜しくない。そのために普段、倹約しているのだから」と話すヴィジャヤンさん、エジプトのナイル川やスイスのアルプス山脈、イスラエルのベツレヘムでイエス像を拝んだ思い出などを嬉々として記者に話した。
それでも、この夫婦が手にするチャーイ店の売り上げだけで、これだけ世界中を旅することは、並大抵のことではない。
平均的なチャーイ店の収入は、大手卸売会社との契約のある店舗であれば、1日に最大4,000ルピーほどの売り上げがあるとしても、家計収入となるのは、せいぜい1,000から1,500ルピーほどだと考えられる。
そもそも、どのようにして旅行資金を貯めているのだろうか。
「1日300ルピーをチケット代という名目で貯金しているのです。あとは、旅に出ても必要最小限の安価な土産だけを買うようにしています」
このため旅行費用の一部について、この高金利の時勢に、銀行から融資を受けるという大胆な行動を取っている。
「3年ほどかけて一生懸命働いてローンを返済したら、またローンを組んで旅に出るのです」ヴィジャヤンさん。
これほどの負担をかけて、楽しむために旅をしているヴィジャヤンさん、1人旅をしたほうが金銭的に楽なのではないかという記者からの質問に対し、「妻が一緒ではない旅は考えられない。妻がともにいて初めて、心から楽しめる」と笑った。
この記事には後日談があり、「The News Minute」による配信後、多くの人からの申し出を受けて、まもなくこの夫婦の旅行資金のための「クラウド・ファンディング」がスタートする予定であるという。
*Photo from The Newsminute