マハーラーシュトラ州アコラ:「ガウカリ村の味」という名の食堂を支えている涙ぐましい裏方

 

Posted on 21 Oct 2017 23:00 in ASKSiddhi独断うまい店 by Yoko Deshmukh

煙が充満している台所は、文字通り涙なしには見られないものでした。



ディワリ休暇のアコラ滞在も残すところ2日となった昨日の夕方、わが家の老選手「タタ・インディゴ(Tata Indigo)」、通称「ドラカーII」に定員オーバーの6人が乗り込み、シッダールタの運転でアコラ随一の観光スポットとして頭角を現しているというヒンドゥー寺院、「サラサール・バラジ寺院」にお参りに行った。

個人の寄贈により建てられたという寺院で、誰でも無料で自由に入れるようになっている。
境内には池などが配置された広々とした公園になっており、天井が高く床にはひんやりとした大理石を使った本堂も綺麗に清掃されていて、心地よかった。
ラクシュミー・プージャも終えて一段落した市民とおぼしき、多くの人々が訪れて、夕涼みに興じたり、シッダールタの姪たちのようにセルフィーに夢中になったりしていた。



寺院内で写真を撮ったら怒られた。
 

ただ、その晩バジャン(祈りの歌)を担当していたブラーミン(僧侶)が相当な音痴だったようで、彼の震えるダミ声が拡声器で夜空にまき散らされ、雰囲気をぶち壊していた点が、一抹の残念感というか、ある意味では期待通りの風情を添えてくれた。

その後、せっかくだから外食をして帰ろうということになって、訪れたのが表題の「ガウカリ村の味(गावकरी वऱ्हाडी चाव)」である。



 

どちらかと言えば半露店で、レストランというより食堂といった趣なのが、かえって好感を持てた。

訪れた時間帯が一般の夕食時よりも早すぎたのか、客がまったくいなかった。
しかし待機していた2人のおじさんたち(制服を着ていないのでスタッフではなく共同経営者か)が、メニューの相談に乗ってくれたり、いろいろと世話を焼いてくれたりする。

わたしたちが注文したのは、焼きナスを潰してスパイスなどと炒めて作る「バリト(भरीत)」など、マハーラーシュトラ州の典型的な家庭料理。
料理を待つ間、キッチンを見せてもらうことにした。

田舎風をウリにするだけあって「料理はすべて炭火で作っている」というから、どれだけ大きなキッチンかと思ったら、せいぜい6畳ぐらいの狭いスペースに、「焚き火」と言った方が相応しいような簡易かまどが2台しつらえてあり、2人の女性が座ってそれぞれローティとサブジを作っていた。
中に入ると、充満している煙が目に染みる。
しかもメラメラ燃える直火で空気が熱い。

過酷としか形容しがたい環境の中で、たった2人の女性が次々に料理を作っていく(この食堂では電話注文にも対応しているようだ)。
ものの5分くらいしかいなかったと思うが、女性たちの働きぶりを見ながら、「食べるとは」、「働くとは」ということに思いを馳せずにはいられなかった。

できあがった料理は、どれも今まで食べたどんなマハーラーシュトラ料理とも1、2位を争うほどのおいしさで、それはきっと女性たちが料理を作る様子を見せてもらったことで、「お母さんの手」のようなものを感じたからかもしれない。


女性たちの手による絶品プーランポーリー
(ジャグリーで味付けしたトゥールダルの餡入りパラータ)
 

食べ盛りの若者2名を含む大人6名で480ルピー。
べらぼうに安いわけでもなく、この地方では適正な価格だと思う。
わたしたちが帰るころには、他の客たちも続々と入ってきた。
一番大変な働きをしている女性たちに、十分に還元されていると信じたい。

シッダールタ実家に戻って留守番していたアイー(シッダールタ母)にこのことを話すと、「子供のころ(推定50年ぐらい前)はどこの家もかまどだったよ。料理のたびに煙が目が染みて痛かったさ」と言っていた。






        



About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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