午前7時半に、わが街プネ空港を飛び立ったインディゴ(IndiGo)航空304便は、およそ2時間の快適なフライトを経て、ほぼ定刻通りの午前9時半過ぎ、インディラ・ガンディ空港に到着した。
最近はデリーを経由しない飛行機で海外へ出かけることがほとんどのため、およそ10年ぶりに上空から眺めたデリーの街は、蛇行して流れるヤムナー川とおぼしき大河に沿って整然と発展しているさまが見られ、特に郊外に高層のマンション群が林立しているのが目立つ。
デリーは、都心部から郊外部にかけて、首都圏として徐々に拡大しており、特にグルガオンの発展が目覚しいと聞く。
はるかヒマラヤ山脈を端とする雄大な大河、ヤムナーが、すでに高く昇った陽の光を時折きらりと反射する。
わたしの頭の中には、なぜかブーペン・ハジャリカさんの歌う「Ganga Behti Ho Kyun(गंगा बहती हो क्यूं)」が流れ出す(母なるガンジス川の汚染を憂う、もの悲しくも美しい調べが心を打つ名曲)。
さて、インディラ・ガンディ空港の国内線ターミナルは、ちょっと拍子抜けしてしまうほどのこじんまりとした造りだ。
さっそくターミナル内のプリペイドタクシーカウンターに並び、いったん荷物を置くために、ホテルまでの足を確保する。
今回はシッダールタさんの親戚宅に近い、郊外のドワルカ(Dwarka)にある中級ホテル、ウェルカムホテルを取っていた。
最近は、国内旅行もMakeMyTripなどのサイトを利用すれば、航空券と宿泊がセットになったお得なパッケージが楽々手配できるようになっている。

ターミナル内トイレの男性・女性表記は噂通りの楽しさ
ターミナルを出る。
いよいよ初めてのデリーに、踏み出すのだ。
と、ドギマギしていたが、しつこそうな客引きらしき人たちに、まったく見向きもされないばかりか、ほとんど見かけなかったような気がするのは、ここが国内線ターミナルだからか。
先ほどもらったプリペイドタクシーのピンク色レシートを見せると、警察官がてきぱきと空港に待機するタクシーのもとへ案内してくれた。
指示されて乗り込んだタクシーは、ベコベコのワゴン車で、冷房もないので窓を全開にして走り出した。
しかも道中、「ドワルカなんて、、、それで、カウンターではいくら支払ったの?え?220?ったく、、、ホテルに迎えに来てもらえばよかったのにねぇ、、、」と、嫌味をぐちぐち。
でもプリペイドタクシー車両として警察に登録されているはずだし、料金通りに行ってくれなきゃ困るぜ、とこちらも高を括り、半笑いで聞き流す。

「ウェルカムホテルは、あっちだよ!」
文句は言いつつ、しかも道中何度か迷いつつ、きちんと目的地まで連れて行ってくれたよ。
やれやれ、ありがとう。
お礼に20ルピーのチップを渡したら、黙って受け取り、走り去っていった。
少なかったのか、適性だったのか?
チップの金額には、やはり戸惑うね。
ホテルのあるドワルカは、インディラ・ガンディ空港の真裏あたりに位置し、部屋からも航空会社まではっきりと分かるほどの距離で、ひっきりなしに発着する航空機が眺められる。
まだまだ空き地も多い新興住宅地といった感じの落ち着いた街並みで、ホテルの目の前は、デリーメトロ(Delhi Metro)「ドワルカ・セクター10(Dwarka Sector 10)」駅になっている。

ドワルカ・セクター10駅
まず、プネではまったく見かけることのないサイクルリクシャーが、そこかしこに現役で走っていることに驚く。
深刻化する大気汚染への対策として、現時点でデリー市が提示できる究極のエコ交通手段なのだろうか。
ドワルカだけでなく、市中心部に比較的近い地域でも、オートリクシャーと共存して営業していた。
痩せた小柄な漕ぎ手とは対照的に、乗客はだいたいが豊かそうな、このあたりの住民かオフィスで働く人たちのようで、談笑しながら乗っているジーンズ姿の若い女性たちもいる。
サイクルリクシャーはメトロ駅前にもたくさん待機していて、駅から自宅や目的地までの手軽な足としても活躍しているようだ。
後ほど詳述するが、近年インド国内各都市で急成長しているタクシーサービス、OLA CabやUberなども合わせて、さすが首都、住民のための交通手段がとても充実していることを実感する。

駅前のサイクルリクシャー

ホテルの窓から眺めるドワルカの街

どんどん伸びゆくデリーメトロ。こちらは建設中の駅かな?
(続く)