アランボール・ビーチはゴアどころかインドの「異界」

 

Posted on 04 Mar 2016 23:00 in トラベルASKSiddhi by Yoko Deshmukh

まるで夢のような、驚きのインド、自由のインドが、ここにはありました。



さて、「指圧のグルたち」とは、アランボール・ビーチに無数にあるシャック(海の家)のうちのひとつ、「ココ・ロコ(CoCo LoCo」前で待ち合わせてから、夕暮れの浜辺でしばらくビールでも飲みながら歓談しようということになった。

適当なシャックまで歩いていると、涼しい風が吹き始めたビーチは既に多くの人たちで賑わっていた。

中でも、国籍も様々な人たちがずらり並んでラグを広げ、何やら品物のようなものを売っている光景が目を引く。
ここは、ネックレスや指輪、そして鮮やかで、なかなか凝った絵柄のポストカードなど、売り手自作の作品をはじめ、貴石っぽいもの、また帰国間近らしき売り手が、ゴアに持ち込んだは良いが食べ切れなかったジャムや缶詰など、世界各国の食品が並べて売られる、小さな蚤の市のようになっている。

並べられた品物を興味本位で眺めていると、ある女性におもむろに腕をつかまれ、「あんた、どこから来たの?日本人?あたしは(日本語っぽい発音で)シ・ベ・リ・アから来たのよ。おいしくてヘルシーなシベリアのジャム、見てかない?」と、インドでも遭遇したことのない強引な商法に、思わずたじろぐ。
この蚤の市は毎夕、開催されているのだそうだ。

蚤の市と合わせて毎夕恒例の催しとなっているのは、やはり世界各国の人たちによるストリート・パフォーマンス、ならぬ「ビーチ・パフォーマンス」である。
そこでは茜色に染まる夕暮れの水平線を背景に、誰もが思い思いに自身を表現していた。

ある人は音楽に合わせてしなやかに踊り、ある人は新体操のスティックをクルクルと華麗に回し、あるグループは「ハレー・ラーム」とヒンドゥー神クリシュナを称え、幻想的な音階で歌う。
長い長い脚の巨人が不思議な舞いをする。

「Lots of beautiful people out here.」と漏らした友人の言葉通り、その光景は、わたしが今まで見たことのないインド世界だった。
自由と多様性と人生の謳歌。
しかも、これらがインド人以外の、世界各国から集まった人たちによって実現されている不思議。

いや、パフォーマーという形ではないにしても、インド人も参加しているに違いない。
なぜならビーチで外国人観光客が物売りをするなど、通常であれば当局が取り締まらないはずがないからだ。

加えて「指圧のグル」によれば、ゴアには様々なエンターテインメント・エージェントがあり、才能あるビーチ・パフォーマーをスカウトしたり、登録したりして、インド国内各地、時には海外へのイベントに派遣しているという。
そうして派遣されたパフォーマーの中には、イベント1回あたり4万ルピー(およそ8万円)ほど稼げる人もザラにいるらしく、昨日の本欄でご紹介したベルギー人の彼も、このような機会の獲得を目指して、日夜ジャングルの中で火のついた棒を回し続けている。
まるで何かの小説か映画のストーリーのような生き方が、ここでは現実にあり得るのだ。
よく、「インドに来ると人生観が変わる」と言っている人に遭遇するが、若ければ若いほど、アランボール・ビーチに数週間ほども滞在するような経験をするだけで、おそらくそれは現実のものとなるに違いない。

ゴアは世界に名だたる観光地だけあって、アランボール・ビーチ以外でも外国人が思う存分、好きな格好をして好きなように振る舞うことに寛容な場所になっている。
数あるビーチを結ぶ道路では、スクーターに乗る人のほとんどは外国人だ。
どちらかと言えばインド人観光客のほうが「よそ者」のように見えてしまうほどである。

その思いを一層強くするイベントに、この後、参加させていただくことになるのである。

※写真をクリックすると、拡大表示できます。


夕暮れ。
ドローンを見つめるラグ売りの女性。
右端の女性は滑らかなスティックさばきで新体操の演技をしていた。
 


この群衆の中に、物売りとシャックの店員さん以外で、
インド人を探すほうが難しい。
 


蚤の市。
指圧のグルたちのひとりが、熱心に「渉外活動」していた。
 


「巨人」と、ビーチ・パフォーマーたち、それを見物しにきた人々。
時折、沖ではイルカが跳ねる。
穏やかな夕暮れ。

***

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About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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