みんなで樹木をハグして自然を守ろうとした人

 

Posted on 23 May 2021 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

このような方の存在を、恥ずかしながら知らずにいました。ひとりひとりの命に、かけがえのない思いがあります。(Image source: BBC World)



「BBC World」電子版で、今月20日に新型コロナウイルス感染症によりなくなった94歳の環境保護家、スンダルラール・バフグナ(Sunderlal Bahuguna)さんの生涯にわたる取り組みが紹介されていた。

Sunderlal Bahuguna: The man who taught India to hug trees

バフグナさんは1970年代に、インド北部ヒマラヤ山中で環境のために樹木を伐採から守ろうと呼び掛ける「チプコ(Chipko、『ハグ』の意味)」運動を始め、それを全インドに拡大させた第一人者として世界中にその名を知られている。

その活動とは、木に文字通り「抱きつく」というもので、伐採者たちに「木を伐採するなら私を切ってからにしなさい」という強烈なメッセージを発するというものだ。

世界最高峰の山脈で起きている環境危機に警鐘を鳴らすきっかけになったことで、世界的にも注目を集める運動になった。

1970年にウッタラーカンド州で発生し、流域住民の生活に壊滅的な被害をもたらした大洪水により、森林破壊が地滑りや洪水の遠因となっていることに気付かされることにもなったと、チプコ運動を見守ってきた歴史家、ラーマチャンドラ・グハ(Ramachandra Guha)氏。

その3年後、若かったバフグナさんは仲間たちとともに、自然を守り抜くという誓いを立て、ヒマラヤの樹木に抱きつくという誰でもできる運動を立ち上げた。

この運動では地域の女性たちも重要な役割を果たし、樹木に抱きつくのみならず、ヒンドゥー教徒にとって神聖な「兄妹の契り」を表す赤い紐、ラーキーを樹皮に結ぶなどの行動へ導いた。
こうした人々は危険を顧みず雪の中を歩き、伐採者たちから道具を奪った。

こうした運動を通じて、ヒマラヤで生まれ育ったバフグナさんは、森林伐採により肥沃な土地が侵食され、仕事を失った男性たちが都市へ流出、残された女性たちが農業だけでなく、飼料、薪、水を集めるなど、すべての重労働を背負うことになり、結果として女性の権利を奪ってきたと結論付けるようになり、チプコ運動を女性の権利奪還のための重要な指標とした。

以降、バフグナさんの支持者は大学生から女性たちまで、雪だるま式に増えていき、木を抱きしめ、そして断食をするという、静かで平和的なデモを続けた結果、ウッタラーカンド州での商業的な樹木伐採が1981年から15年間禁止された。

また1983年からは、バフグナさんは環境破壊への啓もうのためヒマラヤ山中4,000キロメートルを行進、1992年にはインド最高地にあるテフリ(Tehri)ダムで、その建設のために先祖代々の土地を失った1人として抗議のための断食をした。

時が流れ、時代が変わっても、バフグナさんの運動は象徴として生き続けている。
2017年、ムンバイーの活動家らは、メトロ建設のために伐採されかかった3,000本以上の樹木を守るため、抱きしめるという行動を取った。

インド建国の父、マハートマー・ガーンディーを彷彿させるカリスマ的な禁欲主義者としても知られるバフグナさんは、小さく質素なアシュラムに住み、暴力を非難し、本質的に非政治的で、自給自足を旨として物質主義を嫌った。

また、「非暴力的で恒久的な社会」でエネルギーを確保するためには、人間の排泄物からバイオガスを産生し、太陽光発電、風力発電、また水力発電を支持し、またエネルギー消費を抑えるような機械の改善を早くから提唱するひとりだった。

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なお、現状に何ら役立つ情報をご提供できていない「ASKSiddhi(アスクスィッディ)」なので、せめて「在ムンバイ日本国総領事館」より日々発信されている州内の状況や州政府による措置に関する最新情報を、今後はこちらにも転載させていただきたい。

=== 以下、同掲題メールの転載 ===
※5月11日付けのメール、件名「新型コロナウィルスに関する注意喚起(マハーラーシュトラ州におけるロックダウン及び活動制限、E-Pass取得)(2021年5月11日)」


●タクシーやハイヤー等公共交通機関を利用して空港に行く場合は、旅券、Eチケット等があれば、現下の状況(ロックダウン中)であっても、通行許可証等なく移動することが可能です。
●私用車を利用して、空港へ向かう場合には事前にマハーラーシュトラ州警察オンラインポータルもしくは、最寄りの警察署にてE-Pass取得をしていただき、検問等において提示出来るよう準備を願います。

1 当館にて現下の状況(ロックダウン中)の移動制限に関して管轄警察に確認したところ、タクシーやハイヤー等公共交通機関を利用して空港へ赴く場合には、理由が証明できる書類等(旅券、Eチケット、その他業務上必要な理由を疎明する書類や社員証など)があれば、通行許可証等は必要ないとのことです。他方で、私用車を利用して空港へ向かう場合には、警察が発行するE-passを申請していただき、予め車両情報等を登録する必要があるとのことです。

2 今後、ムンバイ空港から運航される全日空便で帰国を予定されている方で、私用車の利用を検討されている方は、警察が発行するE-passを事前に取得していただき、検問の際には提示できるよう準備願います。
取得の方法については、マハーラーシュトラ州警察オンラインポータル(https://covid19.mhpolice.in/registration)から申請、もしくは、最寄りの警察署に関係書類を提出して取得することが可能です。

【問い合わせ先】
在ムンバイ日本国総領事館・領事班
電話(91-22)2351-7101
メール ryoji@by.mofa.go.jp
=== 転載終わり ==


☆本日の1曲☆

 






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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