ケーララ州発、女性による女性のための素敵な手織物を中心とした家内工業

 

Posted on 16 May 2018 21:00 in インドビジネス by Yoko Deshmukh

心ある人が立ち上がり、市場のニーズもきちんとくみ取った魅力的な商品作りによって、女性たちを応援しています。



プネーからムンバイーのチャトラパティ・シヴァージー空港へ向かう途上の幹線道路、位置としては巨大な空港滑走路のすぐ脇にあたるアーシャ・ナガルからヴィレ・パールレ・イーストに至る幹線道路沿いに、大理石加工業者がずらりと固まって軒を連ねている地区があることに、4月の来日前にふと気づいた。

どの店も「〇〇 Marbles」という看板を掲げてはいるものの、掘っ立て小屋のようなボロボロの外観もあれば、いくつもの店を飲み込んでしまいそうな大きな間口を誇り、看板の構えも立派なものもあって、その大小を分けているものは何なのか、また彼らのいずれかを選んでいる顧客たちの決め手となっている要素は何なのかをふと、考えた時に、商売の本質を垣間見たような気持ちになった。

そんなことをふと思い出したのは、本日付の「The Better India」で、魅力的な布製品の並ぶフェアトレードに関する記事を見にしたからかもしれない。
ケーララ州で、古くからある伝統工芸織物の製造に、100名以上の女性職人の力を借り、販売して得られた利益を還元するフェアトレードを実現している女性がいる。

This Woman Uses Kerala’s Indigenous Products To Empower 100+ Weavers! - The Better India

記事の主役、クリスティ・ジョビン(Christy Jobin)さんが経営するブランド、「ルームズ・アンド・ウィーブス(Looms & Weaves)」は、大手インターネット小売業者「アマゾン・インディア(Amazon India)」でケーララ州ナンバーワン業者に躍り出たことがある人気店だ。

インドは近年こそオンライン販売が常識となりつつあるが、依然として無数の家内工業も存在している。
こうした小規模事業者に対し、表向きには政府が福利厚生制度や市場機会などを保証して保護しているということになっているが、現実には職人の技術向上や収入への還元に関して具体的な策が講じられていることはほとんどない。
つまり、国内や海外から進出する大手企業の大工場で安価に大量生産される商品と、まともな競争にさらされ、潰れていくしか道がない。

幼いころから織物職人の仕事ぶりに触れる機会が多く、慣れ親しんできたクリスティさんだが、同時にそうした職工たちが不当に安い賃金で働かされている状況にも気づいており、社会人になってからデザイナーとして国営協同組合で4年間、仕事を得た際に、それは確信となった。

クリスティさんによれば、ケーララ州の小村で職工に従事する女性たちのほとんどは、大黒柱として世帯の家計を支えているにも関わらず、1枚のサリーやムンドゥ(ドーティー)を織り上げてから初めて、わずか500ルピーほどの手間賃が支払われるにすぎず、また福利厚生費や賞与といった制度は近年までなかなか導入されず、支給時期も非常に遅れるということがしょっちゅうだという。

そうした現状を告発する目的で2013年に報告書をまとめ、同時に自ら事業を立ち上げ、職工をはじめ、手工芸品を製作して販売する女性起業家などの小規模事業者が、適切な収益を手にすることができるような、持続可能な仕組み作りを始めた。

しかし、女性職人が手掛けた商品を、安定した販路に乗せるのは並大抵のことではない。
ごく自然に、巨大電子商取引業者アマゾンに出品するというアイデアを思いついた。

当初は10種類の主に布や繊維製品を出品していたが、評判が評判を呼び、現在は100名を超える女性たちが手掛けた、ケーララ特産のタオルやシーツはもちろん、スパイスや自家製スナック、アーユルヴェーダや美容ケアなど幅広く700種類の商品を展開、毎日インド全土はもちろん、アメリカなどの海外からも平均200件の注文が舞い込んでいる。
製作者には商品の売り上げがあれば直ちに現金で支払われることになっている。

「Looms & Weaves」の商品に俄然興味が湧いてきたが、店名にそぐわずトップに出てくるのはタオルや食品が多かった。
しかし根気よくページを繰っていくと、素敵なケーララ風サリーもちゃんと見つけることができた。
しかも価格も比較的リーズナブルだ。

「Looms & Weaves」 - Amazon.in





      



About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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