「廃貨ショック」、中世でも同じようなことをしていた、あの君主

 

Posted on 20 Nov 2016 23:00 in インドの政治 by Yoko Deshmukh

「賢者は歴史から学ぶ」と言います。



※Muhammad Bin Tughluq, the image from a copyright-free space
 

モディ首相による強引な「廃貨(denominations)」政策に国民や観光客が振り回される中、いつも安定したポジティブニュースを供給しているThe Better Indiaが、20日付の記事で「14世紀インドで同じような強硬策を講じた支配者」について紹介していた。

Currency Demonetisation: Tughlaq Did It Way Back in the 14th Century and This is What Happened!

その人とはムハンマド・ビン・トゥグルク、そう、北方からの蒙古襲来から首都を守る名目として、デリーから1500キロ以上も南下したデカン高原中部デヴァギリ(現マハーラーシュトラ州のダウラターバード)にいきなり遷都し、わずか数年でまたデリーに戻すという無理やりな大移動の過程で、列車も何もない時代のこと、過酷な行程に多くの民衆の命を犠牲にしたことでも悪名高い君主である。

その治世が歴史に刻んだもうひとつの汚点が貨幣改革で、この無計画な数年間の遷都により財政は逼迫、荒廃したデリーを建て直すための資金が足りなくなり、それまで流通していた金貨と銀貨を没収して、銅と真鍮でできた硬貨に置き換えた。
ところが、この「新硬貨」は偽造が容易で、偽貨幣が大量に出回ることになってしまい、超インフレを招いて財政をますます圧迫する結果となった。

知性や創造性が高く、文学や天文学、宗教、哲学に精通していたトゥグルクだが、その愚策の数々は数世紀を経た今も語り継がれるまでになっている。

モディ首相も、グジャラート州首相時代は、思い切った政策が高く評価されていたが、首相になってからは派手なパフォーマンス的な政策が目立つ。
歴史から何かを学ぶという意欲はないのかな。
それとも、インドを中世に逆戻りさせたいのかな。

もやもやとした気持ちになる中、もうひとつのThe Better India記事では、今回の「モディ廃貨」による深刻な現金不足の中でも、必要最低限の生活には困らないようにと、テーランガーナー州で試みられている実験を紹介している。
同州では、個人識別カード(アーダール:Aadhaar)の提示により、生活必需品を調達できるような仕組みを導入している。

A Unique Experiment in Telengana Is Allowing People to Purchase Veggies Using Aadhaar Cards

この試みではアーダールを提示した住民に、5、10、20ルピーなど少額の臨時金券を発行、金券の使用と引き換えに銀行口座から同額を引き落とすという仕組みで、銀行口座を持たない住民については口座開設を行った。
銀行口座の普及が遅れているインドで、このような形で銀行の利用を奨励するという意味では、モディ政策の流れをうまく汲んでいると言えるだろう。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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