第二次大戦中にポーランド人難民たちを宮殿にかくまったマハラジャ

 

Posted on 17 Apr 2016 23:00 in インドの政治 by Yoko Deshmukh

制度や慣例に囚われず、人道で動いたマハラジャに、介入を許した大英帝国についても、関心が向きました。



第二次世界大戦中、ナチスドイツに追われたポーランド人難民や両親を奪われた孤児たち640名あまりのために、その邸宅をシェルターとして提供したインドのマハラジャがいたという。
本日付のThe Better Indiaが伝えた。

How One Maharaja Helped Save the Lives of 640 Polish Children and Women During World War II

主に女性や子供をかくまった、そのマハラジャの邸宅は当時、「インドのリトル・ポーランド(Little Poland in India)」と呼ばれていた。

現在と同じ、またはそれ以上に、世界大戦が進行していた当時はどの国も、難民の受け入れに積極的ではなかった。

命懸けで逃れてきた多くのポーランド人難民を乗せた船が、ムンバイの港に接岸した時も、宗主国であった大英帝国の知事は彼らの入国を拒否した。

その話を聞きつけ、また実際にポーランド人難民からの陳情に耳を傾けたナワナガル(Nawanagar、現在のグジャラート州ジャームナガル)のマハラジャは、英国政府の対応に業を煮やし、自分の領地の港に難民の船を接岸させた。

船から降りてきた難民たちを温かく迎えたマハラジャは、「君たちはもう孤児ではない、ナワナガリ(ナワナガル人)だ。他のナワナガリがわしを父と呼ぶように、あなたがたもわしのことを父とみなしてください」と呼びかけた。

マハラジャが夏の宮殿の敷地内にシェルターを建てるまでの間、難民たちには快適に住めるテントが与えられ、心から安心して滞在できるよう、手厚く待遇されたという。

英国政府による厳しい非難に対し、マハラジャは「養子縁組証明書」まで取得して「皆わしの家族だ、文句あるかな」と涼しい応答をした。

アウトルック・インディア(http://www.outlookindia.com/magazine/story/little-warsaw-of-kathiawar/268578)が2010年、当時ナワナガリで暮らしたポーランド人元難民らの証言を集めて伝えている。

ある人は、「ある日、マハラジャがパーティを開いてくれたんです。でも私たち子供は、マハラジャがせっかく出してくれた料理を、空腹だったのに食べることができなかった。それを見たマハラジャは、『心配いらないよ。君たちの食べたいものを用意するから』と約束し、ゴア(当時ポルトガル領)から7人もの若い料理人を雇ってくれたんです!」

あるポーランド人夫妻は、「マハラジャの難民キャンプこそ、15歳だった私たちが出会った場所だ」と回想する。

「今でもインドは私の第二の故郷のように感じる。あの場所から、新しい人生が始まったのだから」と語る。

この難民キャンプは、第二次世界大戦が終結するまでの4年間、マハラジャの手厚い保護によって運営されたという。

なぜポーランド難民を受け入れることにしたのか。
かつてポーランドの週刊誌「ポルスカ(Polska)」に語ったとされる、マハラジャの動機とは、次のようなものだった。

「海岸そばの美しい丘で、子供たちが心身の傷を癒しながら、ひとときの試練を忘れてくれたら、と思ったんじゃ。祖国ポーランドが背負っていた抑圧の運命と、飽くなき闘争に巻き込まれた、幼い魂に同情してな」

深刻な飢饉や干ばつに喘いでいたインドにありながら、マハラジャの見せた慈愛の行為は、世界中の人々に、戦争による罪のない犠牲者らに対し、心を開き受け入れ、行動するきっかけを与えたとされている。

マハラジャは1966年に亡くなり、その死後、ポーランドのために尽くした海外の人に、ポーランド大統領から授与される勲章、「Commander’s Cross of the Order of Merit」を叙勲されたほか、現在でもポーランドの人々に記憶されている。

2013年には、首都ワルシャワに「良きマハラジャ広場(Skwer Dobrego Maharadzy)」という地名が作られた。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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